海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.04.16 2012:04:16:18:24:05

 ふたつの「死因究明に関連する法案」が提出された春。あるいは「麻雀トライアスロン・雀豪決定戦」と「第70期将棋名人戦」など。

 ところが驚いたことに、現実は国会で議論さえもせずに法案を通すべく、議連の下村議員や細川議員が精力的に各党に説明に回っているというのです。それは全会派が事前説明で同意し委員長提案という形式で国会に提出できれば、委員会での審議を省略して採決のみを行うことができるから、なのだそうです。
 

 議連や警察庁の有識者会議では医療関係者、特にAi関係の医療関係者を呼んで話を聞いた方がいいという提案を無視し、強引に推し進めてきた関係者たちは今、国会での議論を形骸化させて、市民への情報公開が担保されない民主主義の根幹を軽視した法律を無理に押し通そうとしているのです。
 

 それでも、日本もまだ捨てたものではないと思うのは、こうした問題に危機感を抱いた橋本岳・前衆議院議員が自民党部会でこの問題を取り上げたところ、議連に関わる石井みどり議員や、この問題を知らなかった西田昌司参議院議員や小坂憲次参議院議員が異論を唱え、場に居合わせた警察庁審議官から「遺族に説明する際には検査結果等も開示するし、通達等で現場にはそのことを徹底させる」という言質を取ったことです。でも口頭での言質はあてにならないし、本当にそのつもりがあるのなら、法案の修正も簡単にできるはずです。そうしないのはまさに警察庁と議連が、市民の視点不在で自分たちだけに都合のいい法案を作ったという何よりの証拠でしょう。
 

 今の情報化時代に新たな立法をする際、情報開示に言及しないのは時代遅れです。そうした指摘を受けながら対応しないのは、ひとえに議連の先生方が、情報公開に関しての無関心さを示しています。これから国会審議になるわけですから、「Ai診断は医療現場の専門家に委託し、その情報は医療原則に準じ、遺族と市民社会に早急に公開する」という条文を加えることは、議員の見識が高ければ簡単にできるでしょう。できなければそこに何か、市民社会の幸福を願う以外のファクターが強く作用しているとしか思えないのです。
 

 

 野に下った自民党ではこのような議論が実施されているのに、政権与党である民主党では、外部の意見に耳を傾ける姿勢が欠けているように思えます。「コンクリートから人へ」「消費税は上げない」「医療部門は拡充させる」など、政権を取った時に謳ったマニュフェストを、野田政権は次々に反古にしています。これって政党詐欺だと思うのですが。
 

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