海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.07.17 2012:07:17:21:40:53

死因究明関連法案に付帯決議がついた理由、そしてケルベロスの夏。

 かれこれ十年以上、Aiの導入推進活動に勤しんできましたが、ここで一度、基本を総括します。短いので、私の主張に疑問を持ったらここに立ち返っていただけるとありがたいです。
 

 Ai原則。解剖率が2パーセント台である日本ではAiは実施した方がいい。実施したら、その情報は遺族と社会に公開すべきである。そしてAiは放射線科医、あるいは臨床医が読影し、費用は医療費外から医療現場に支払われるべきである。
 

 私が主張しているのは、たったこれだけです。これはAiが最も市民社会にプラスになるような導入の形態です。でもそれができないのが現代の日本社会です。つまり日本社会はいびつなのです。
 

 私はこの主張に反対する人を論破します。それでも修正しない場合、その集団を言論攻撃します。対象はきわめて少数で、法医学会上層部、厚生労働省の一部、警察庁の一部、あとは病理学会や放射線学会の上層部のごくごく一部です。具体的に頭に浮かぶのはせいぜい二十人程度でしょう。
 

 しかしそうした人たちが意固地に従来のシステムに固執したがるがために、新しく有益なシステムであるAiの導入が阻害されているのです。
 

 市民のAi支持率は高く、アンケート調査をすれば確実に9割は超えている、というのに......。
 

 

 根強い抵抗勢力に加え、Aiをやらないヤツ、やりたくないヤツ、嫌いなヤツが、Aiができない、あるいはやれない理由ばかりを十も二十も並べ立てます。いわば中間派とでもいうべき人々の主張は官僚に都合がいいので結局、官僚がAiに対し不作為になってしまう理由を与えてしまう。結果、Aiに費用がつかず、現場でAiを実践している人たちが割を食う。そして情報公開によって医療を守るという大きな防波堤を崩してしまっているのです。
 

 勇なき匹夫は、新しいものを作り上げていく上で害悪以外のなにものでもない、と最近とみに思います。やらないヤツは心配するな、余計な不安を口にするな、邪魔をするな。やれるという人にとりあえず任せ、その上で不都合が出てきたら、公開の場で議論して修正していけばいい。
 

 これが、世の中をすっきりさせるコツだと思います。
 

 

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