どうして死因情報を公開原則としないのか。どうしてAiを専門家である医療現場に完全委託しないのか。理由は簡単で、そんなことをしたら司法解剖や捜査現場での死因究明がいかにいい加減に行われているかという実態が露呈してしまうから、です。
違うのであれば公開できるはず。ここまで言われても法医学会上層部は、私の陰口をギルド内でこそこそ言うしかないわけですから、私の指摘はたぶん正鵠を射ているのでしょう。
医療現場のことも知らない無責任な法医学者が、この法律策定を主導したという証拠があります。それは官報にも掲載された次の条文です。
法律第三十四号 警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律
第五条 (前略)死亡時画像診断(磁気共鳴画像診断装置その他の画像による診断を行うための装置を用いて、死体の内部を撮影して死亡の原因を診断することをいう)(後略)
これは間違いではありませんが現在Aiの主流は95%以上CTが用いられており、核磁気共鳴画像装置と呼ばれるMRIの実施率はきわめて低率です。医療現場の常識を少しでもわかっている人なら、「CTもしくはMRI」と記載しなければおかしい。あるいは、どちらかだけ記載するのなら現状ではCTの方でしょう。これも警察庁が招集した有識者会議のメンバーが法医学会上層部だけに限定されていたために起こってしまった、大爆笑ものの悲劇でしょう。
結果的に、法律を作った議員とそれをサポートした警察官僚が、医療に関して一般市民よりも無知な状態にあることを露呈してしまったのは、お気の毒のひと言ですが、まあ自業自得でしょうね。
もちろん議員は医療の専門家ではありませんからそうした事態も起こりえますが、こうしたことが起こったのはひとえに議員、及びガイダンス役の法医学者たちの慢心、傲慢さ、不見識の現れに他なりません。聞くべき人に話を聞けば、こうした初歩的で恥ずかしい間違いは簡単に修正できたはずだからです。