六月中旬に法医学会が開催され、そこでは「死後画像診断の現状と課題」というシンポジウムが立ったそうです。抄録を拝見しましたが、内容が興味深かった。座長は東海大の放射線科教授と札幌医大の法医学教授。このふたつの大学は、モデル事業に積極的に協力している大学です。
演題は五題。札幌医大の放射線科医、新潟市民病院の放射線科医、千葉大法医、大阪大法医、そして札幌医大法医の五名です。ちなみに五名中なんと四名がAi学会会員であり、三名はAi学会理事を務めています。
驚いたことに五名中抄録でAiという用語を用いたのは、大阪大法医学教室の飯野先生ただひとり。ちなみに飯野先生は日本でただひとり、画像診断ができる法医学者ですから除外しておきます。そして飯野先生だけは、法医学会でも堂々とAiという用語を使っています。
放射線科医でAi学会の理事でもあるふたりがAiという用語を用いないのは、法医学会の底流に配慮した結果なのでしょうが、これはあまりにも浅慮です。なぜなら法医学の枠組みに従うと放射線科医がAiに関してタダ働きさせられてしまうというのが証明されているからです。そして私はそうした先生方にもさんざんご説明しているので、たぶん、枠組みは理解しているはずなのです。
逆に言えばAiという用語には「診断は放射線専門医が実施すべし。その費用は医療費外から医療現場に支払われるべき」という旗印が刻印されている。それを使わない放射線科医は、ほんと何を考えているんでしょうか。一方で相変わらず、放射線科医の集団では、「Aiには費用がつかないから実施しにくい」などという意見が上げられる。
放射線科医のみなさん、そういう現場の声を阻害しているのは、あなたたち身内の不統一のせいなんです。以後、放射線科医が苦境に陥ったら、戦犯の半分は身内にいるわけです。