海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2012.07.17 2012:07:17:21:40:53

死因究明関連法案に付帯決議がついた理由、そしてケルベロスの夏。

 ここではAiの費用が法医学教室に誘導されている事実も明らかになりました。読影能力のない法医学教室がAi費用をメインで受け取っている。これこそ私が恐れ続けていた事態であり、法医学会上層部が目論んでいたセコい利権の奪取であり、そのゆえに法医学会は私の言説を蛇蝎の如く嫌悪するのです。
 

 あ、ちなみに私は自分の利権のためにこうした指摘をしているわけではありません。だって私は放射線科医ではありませんので。私がそうした方がいいと主張するのは、純粋に公益のためです。
 

 千葉県に限らず法医学教室が受け取るAi関連額は、微々たるものです。でもそれを梃子に、日本中で放射線科医がダンピングの憂き目にあうわけですから、放射線科医にとってAi費用をかすめとり、粗悪なAi診断をまき散らすことでAiの能力を結果的に貶めている法医学教室は「朝敵」認定してもおかしくないはずなんですが。
 

 だからこそ、そんな法医学会での発表で、Aiという用語を忌避してしまう放射線科医がいることが残念でなりません。これは単なる放射線科医の利権の防衛ではなく、市民社会の公益を守る大義ある闘いなのです。
 

 

 ちなみに冒頭に述べた法案は、細川議員の秘書ととある法医学教室の教授のアルコール交流が発端でした。つまりAiの費用を法医学教室にかすめ取る、ということも内包されているのでしょう。
 

 でもAiをきちんと診断できる法医学者は、日本ではたったひとりしかいません。そして何より、ふだんから画像診断を専門で行っている放射線科医がAi診断は難しいと言っている。それなのにまったくの画像診断素人に等しい法医学者に、Aiを仕切らせようとする。
 

 この法案を策定した民主党議員の知性レベルは推して知るべし、というところですね。
 

 

 そう言えば厚生労働省公募科学研究で、東大病理学教室の深山氏が行った研究では、Aiはきわめて低評価で、深山氏が理事長を務めている病理学会でもかつて「解剖と併用する場合以外にAiを用いるべきではない」という公式コメントを出しています。
 

 でもAi単独実施が何と法医学教室が扱うAiでさえ実施されているというのが、現実です。
 

 病理学会はかつて行ったAiに対する、不当に低評価のバイアスをかけた公式コメントを撤回すべきでしょう。ま、できないでしょうけど。法医学会でさえAiのシンポジウムが立ったのに、病理学会では、今やこの春のAi関連はたった一題というていたらくです。
 

 Aiの公募科学研究に名乗りをあげた方が理事長になったのに、あまりにひどい対応ですね。
 

 要するに、画像診断の専門家ではない、解剖医がAiについて語ると、不当に貶められてしまい、それは社会にとって大いなるデメリットを生じさせてしまう、という構図がここでも認められてしまうのでした。
 

 

 激烈なことを書いているように見えるでしょうが、私の攻撃対象は始めに述べた人たちに限定されている、ということはご理解いただけたと思います。攻撃する理由は、そんなシステムが普遍的に導入されたら、市民が大変なデメリットを蒙ると予見されるからです。いいかげん、自分たちのギルドへの利益誘導のみしか考えられない人たちを放置すると大変なことになるということに、市民のみなさんは気づいてください。
 

 

続きを読む 1234567891011