海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.03.23 2012:03:23:18:30:09

ゾンビ企画、医療事故調査モデル事業は死因究明格差を拡大する。

【記事】義父のケースで、記者たち遺族は「当事者同士だけでは、病院は守りの姿勢になりがちで、遺族の不信感が高まる。第三者が入ることで調査に信頼が得られ、その後の話し合いの土台にもなった。モデル事業を利用してよかった」と感じた。これまでの蓄積を十分に生かして、新しい制度を作るべきではなかろうか。(大阪本社編集委員・原昌平)(2012210日 読売新聞)
 

【コメント】この記者には是非、Aiをメインにした死因究明制度の勉強をしていただければと思います。なぜならそれは地域間に大きく存在している、死因究明制度の格差を解消するための、唯一の方策なのですから。東京、大阪だけが重視される、モデル事業をベースにシステムを構築したら良質な日本の医療は壊されてしまうでしょう。
 

 記事を読むと、私などは死因究明制度に恵まれた地域で亡くなった、メディア関係者に思い切り優遇して対応した事案、に見えてしまうのです。繰り返しますが、名古屋大学の二歳児の術後死亡症例は、モデル事業も適用されず、冷たい冷蔵庫に二カ月、遺体を放置されていたのですから。
 

 

 改めて、記事を書いた記者さん、コメントを寄せている医療事故被害者の会の方たち、それから厚生労働省の方たちにお尋ねします。あなたたちは、医療事故被害者の死因究明システムにだけ、きちんとすればいいと思っているのですか。
 

 それは不可能です。土台となる「死因究明制度」全体のシステム的な整合性がきちんとしなければ、医療事故死の死因究明問題が解決するはずがないからです。ちなみにこれは警察庁が目論んでいる、捜査関連の遺体の死因究明制度とまったく考え方の根っこは同じです。
 

 Aiの適切な導入はそうした問題を根本から解決します。
 

 だからこそ、これまでの縄張りを維持したい人たちはその導入を阻害し、無視し、あまつさえ、その能力を貶めようと讒言までする始末。
 

 死因究明問題を指摘しながら、Aiについて何も語ろうとしない人たちは、何かを隠し、そこでささやかな利権の甘い汁を吸おうと目論んでいる人たちだ、と断言しても、ほぼ間違いないと思える今日この頃なのです。
 

 市民のみなさんもそうした視点で、新聞記事をご覧になってみてください。今まで見えなかったものが隠し絵のように浮かび上がってきますから。
 

 

ちなみに、連載記事が終了した翌週に配信された記事を、転載します。
 

 

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