海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.02.17 2012:02:17:21:18:31

盛況だったAi学会とAi研修会

  2月に、日本医師会、Ai学会、日本放射線学会が主宰するAi研修会に、日本病理学会、日本法医学会も共催参加することになりました。現在の法医学会会長はきちんと社会に目を向ける視野の広い方のようで胸をなで下ろしました。

 

 いまだに法医学会の一部の方は「Aiは和製英語だから学術使用に耐えない」などという用語問題にばかり固執しています。そういう人は一般市民よりも勉強していないということを衆目に晒してしまっているということすらわからないので、困ったものです。実はAi学会の会員にもそんな人がいて、メーリングリストで暴れまくったことがあって、その勉強不足に啞然とさせられたものでした。

 

 Ai研修会がこれだけ学術団体に主催やら共催されているという事実こそ、Aiが日本社会に浸透していて、実際に役立っている重要な概念になったという何よりの証拠だというのに。

 

 

 警察庁は新しい死因究明関連法案を成立させるべく、こそこそと、表に出さず活動しています。

 

 問題点はふたつ。

 

 監察医制度を整理せず、新たに法医解剖なる枠組みを作ろうとしていること。それからAiについて表立って触れずに、法律で規制しようと目論んでいること。

 

 警察庁のこうした姿勢は実に不誠実です。

 

 警察庁は「司法解剖が見逃した虐待所見をAiが発見した」という症例の存在を知りながら公表しようとしないからです。

 

 司法解剖が頭頂骨の骨折を見逃し、それをAiが発見し、虐待死の一件が立件された事件があったのですが、報道ではAiの活躍は一行も触れられていませんでした。するとあたかも従来の死因究明制度でそのような逮捕が行われたかのように思われてしまいます。

 

 これは犯罪を憎み、社会正義の達成を第一の使命としている警察にとってその趣旨と一致しない対応です。

 

 こうしたことを指摘しても、大メディアは独自取材せず、記事にしません。要するに官僚システムのラウドスピーカーに堕してしまっているのが実体なのです。新聞やテレビといった大メディアは、ありのままの真実を伝え権力を監視するという、一番大切な責務を放棄し、官僚の意向を忖度するだけの存在になりはててしまっているのです。

 

 

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