それは医療人に対する裏切りであると同時に、市民社会に対する背信行為になってしまうでしょう。
ちょうど、法医学会がごく一部の理事の議論だけでこしらえた『異状死ガイドライン』が、福島県大野病院事件での担当医逮捕を誘発し、結果的に福島県、そして全国の産婦人科医療を破滅の淵にまで導いてしまったように。
近況です。
1)『極北ラプソディ』(朝日新聞出版)は12月刊行決定。大幅加筆、というより、削除加筆削除加筆削除加筆削除加筆で、連載と同時進行で現在5校。でもゴールも間近。
2)小説新潮11月号医療小説特集号で、短編「被災地の空へ DMATのジェネラル」。
3)山形県山辺町のTaiken堂の講演は一時間半の長丁場。Aiについて語るはずが、なぜか『トリセツ・カラダ』の講演会に。終わった後はボランティアの実行委員と閉店時間まで飲んだくれました。
4)品川女子学園文芸部が、私の特集を組んでくれました。山形と鹿児島出張の間のピンポイントで取材を受ける強行軍。でも本当に私の本を読み込んでいてくれて、一年以上メール一通よこさない某大出版社の担当編集などと比べものにならないくらいの熱心さ。日本の未来は明るい。
5)10月8日は福島県・奥羽大学講演会。14日は大阪・摂南大学が企画したシンポジウム。この告知、果たして間に合うか。
5)海堂ラボは、母校千葉大名誉教授でPTCDという技術の生みの親、肝臓生検の千葉ニードル開発者、3Dエコーの第一人者の大藤正雄先生と、精神科医としても執筆者としても著名な、今さら紹介するまでもない、香山リカ先生。大藤先生は実はAiを思いついた時に、いろいろ助言をいただいた恩人でもあります。82歳と伺ってびっくり。あの頃と全然変わらない。香山リカ先生には、境界性人格障害など専門領域と、今回の震災の姿勢などなど。今のようなスタンスになるまでの歴史もうかがえて、お得な気分です。
6)新聞三社連合「アクアマリンの神殿」、週刊現代「スリジエセンター1991」は、共に中盤戦に突入。って、中盤戦かどうかは、終わってみなければわからない。
実はまだ序盤だったりして、と連載担当者を怯えさせる日々。
7)講談社「IN POCKET」10月号で、海堂尊特集を組んでくれています。執筆は東えりかさん。ノンフィクション系列について書いてくださっています。
8)11月に刊行か、とかつて書いていた、初の短編集は来年に持ち越し。でも、そんなに遅くはならない予定。タイトルは『玉村警部補の災難』。
9)ゲラ・ゲラ・睡眠、あるいは講演・懇談・温泉、ひたすら書いて書いて、喋りまくる日々。Aiのゴールは目の前、手を伸ばせばすぐに届きそうなのに、蜃気楼のようにたどりつけない。
それは、書いても書いてもたどりつかない物語世界のゴールにも似て。
2011/10/03 海堂尊