そして実質的なダメージは、「非・監察医制度地域の法医学者」を直撃します。
異状死解剖率20%は、東京都、大阪府、神奈川県、兵庫県では達成されている。ということは、異状死解剖率20%達成のため、その他の地域の異状死解剖率を二倍にすることが要求される。
ほらね。
学会上層部の人たち以外の、非監察医設置地域の法医学者が、現在の二倍解剖しろ、と言われることになるわけです。
Aiの導入は役に立ちません。「異状死解剖率を20%にする」のが目的ですから。そして将来的には50%を目指すそうですよ。
いやはや、これでは、この提言を出した、法医学会の有識者は、実は身内の法医学者さえも売り、自分たちだけ肥えようとしていると非難されても仕方がないでしょうね。
本当にやれるんですか、全国の法医学者のみなさん。不幸にしてこんな予算がついたら、責任以て実施してくださいね。
法医学者の、ごく一部の先生は昔から言っていました。
「異状死は全例解剖しなくてはならない」と。今の異状死1割、年間1万7千体の解剖でもあっぷあっぷしているのに、二倍、そしてさらには十倍の解剖となると、解剖以外の業務にはとても手はつけられないでしょう。
これでは、新しい検査であるAiを習得する余裕なんて絶対にないはずです。
放射線科医の専門試験を合格した放射線専門医でさえ、Aiの読影には特別な勉強が必要で、研修会や講習会を実施する必要があると言うのに、画像診断の素人に近い法医学者が読影なんてできるはずがない。
法医学者がAiの主体になってはいけない理由は以下の二点です。
① 法医学者は解剖業務だけで手一杯で、それ以上のことをする余裕がない。
② 法医学者は、画像診断の専門的な素養に欠けており、その診断能力が低い。
決して、法医学者を貶めているのではありません。それは次の文章を読んでいただければご理解いただけると思います。
放射線科医が、解剖の主体になってはいけない理由は以下の二点です。
① 放射線科医は画像診断だけで手一杯で、それ以上のことをする余裕がない。
② 放射線科医は、解剖診断の専門的な素養に欠けており、その診断能力が低い。
だから、放射線科医は解剖に手をつけることはならず、解剖医に全面的にお任せすることが大切なのです。
こう言って、怒り出す放射線科医は皆無でしょう。それどころか放射線科医なら、是非解剖は解剖専門医の先生にお願いしたいと、提案に全面的に賛同してくれること間違いありません。