厚生労働省の『死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会』報告書の冒頭の数字を上げてみます。
2009年人口動態統計
総死亡数 114万1865体
解剖実数 3万0939体
解剖率 2.7%
もう一度、警察庁有識者の報告書の数字を列記します。
2010年警察関連解剖の実態。
死体取り扱い総数 17万1025体
司法解剖 8014体
行政解剖 1万9083体
法医学者関連解剖 2万7097体
つまり警察が扱う遺体はおよそ1割しかないのです。そして彼らはほかの9割の死因究明制度には鈍感です。自分たちの都合だけで提言を連発し、メディアはそんな偏りについてまったく無自覚に報道し続けています。
こうした現状を打破するためには、どうすればいいのでしょうか。
答えは簡単です。
Aiセンターを全国に設置し、放射線科医に検査・読影を全面委託することです。
そして法医学者のみなさんは、「Aiを放射線科医に全面委託しますので、ご協力お願いします」という公式声明を法医学会名で出せばいい。
それができないとしたら、その理由は何か。
ひょっとしたら、こっそりむさぼりたい利権があるからかもしれません。そんな学会上層部に指導されている全国の誠実な法医学者が、実は一番お気の毒です。
警察庁が根回ししている、「法医解剖」を主体にした新制度整備にあたり、説明文書には死後画像診断の文字はありません。
しかし法制化では死後画像診断のことも含めて検討する、とされているらしい。そしてそれを法医学的関連検査という領域に押し込もうとしている。
議論せずにAiを法制化しようとする動きは、警察が情報の非公開領域にAiを押し込めたいからだと勘繰られても仕方がないでしょう。
もし死後画像について法制化するのであれば、そうした検討会には、医療代表として、たとえば日本医師会に参加要請しなければ、警察の独断専行だと非難されることになる。
また、国会議員がしっかりとそうした法制化について、目を光らせる必要がある。
立法なのに、官僚任せでは、国会議員の名が泣く、というものです。
この時に、法医学者にAiについて聞いてもムダなことどころか、むしろ害悪です。
それは、放射線科医に解剖について尋ねるのと同じようなことですから。