海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.10.08 2011:10:08:03:45:43

医師会主催のAi学術シンポジウム

 厚生労働省は、モデル事業の解剖主体システムから、Ai優先のシステムに方針転換すべきでしょう。もしAiを主体に死因究明制度の再構築に乗り出せば、日本医師会も全面的に協力するでしょう。そうなれば市民社会のためになる制度が出来ることは間違いありません。
 

 

 それはなぜか。

 

 Aiセンターは、公的に援助する枠組みがなく、どの大学もさまざまな研究費に応募したりして、システム構築を目指しています。つまり公益性が高い、と考えているから、そうしたことを実施していることは明らかです。大切なことはAiを適切に用い、市民社会のためによりよい死因究明の仕組みを構築することなのです。

 

 

 用語はシンボルです。ここへきて一部の法医学者周辺の方たちから、Aiという用語に対するバッシングが再開されています。それは警察へ広がっている。

 

 ある関係省庁の方から言われたことですが、「警察ではAiをしないんですか」と何気なく尋ねたところ「警察はAiという用語は使わないんですよ」と即座に言い返されたとか。

 その根っこが一部法医学者たちの発言にあることは明瞭でしょう。

 

 しかし現実には、シンポジウムに参加しただけでも6大学施設が公式にAiセンターと公称しているのです。

 

 

 もし警察庁がAiという用語を避け続けようとするのであれば、それは市民社会のためではなく、自庁の権益防衛が主な目的だ、というように見なされてしまうでしょう。なぜなら、Aiという言葉は認知度が高くなり、そして何より、その概念は市民社会から強く支持されているからです。

 

 

 死後画像診断は高度な知見を必要とする、新しい診断領域です。画像診断の専門家である放射線科医でさえ、特殊な研修を必要だと考えているのです。

 

 捜査現場で、Aiという用語を避けながら使われている、法医学関連の「死後画像」は、診断の質が担保されず、撮影されても監査もされない、医学や医療から見るとあまりにも杜撰かつ無責任な状況におかれています。

 

 これでは冤罪の温床になりかねません。

 

 

 最近、最高検察庁が発表した「検察の理念」によれば、「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を逃れさせることにならないよう、知力を尽くして事案の真相解明に取り組む」というのが理念なのだそうです。

 

 しかし、専門外の法医学者がAiを取り扱うことは、「知力を尽くして」いるとは到底いえず、その結果、「無実の者を罰し、真犯人を取り逃がしてしまう」可能性が高い。

 だって、診断を見通す可能性が高いんですから。

 

 

 法医学分野でAiの先駆けと目されている千葉大法医学教室では、日本医師会の検討会での発表で、画像読影が不適切だったことを居合わせた放射線科医から指摘されています。

 

 同教室での読影は主に、放射線専門医を目指している研修医が行っているのが実態らしい。要するに未熟な「研修医」の診断が、社会的にきわめて重要な司法領域の死後画像として通用している地域もある。それが故郷、千葉県だというのだから、哀しくなりますね。

 警察関係が扱う「死後画像」(我々はAiとは呼ばないんですよby警察関係者の証言)は、現在の医学水準からすると、大変不誠実な状況下におかれている。

 これが実態です。

 

 

 

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