海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.03.07 2013:03:07:21:54:06

平成24年12月作製「診療行為に関連した死亡の調査分析事業の在り方」、あるいは「内閣府が主催する死因究明等推進計画検討会議事録」を読んでわかったこと。

 この3万5千体の三ヶ月間の警察が扱った異状死体に対して、そのうち携帯エコーは80体にしか使用されていませんでした。全国の警察署に配布されたと決まった時、おそらく無用の長物になるだろう、と以前、私が予言したことが当たったわけです。

 

 でもこれは、私が優れた医師だから予測できた、というわけではありません。携帯エコーの診断力なんて、レベルが低く、ほとんど役に立たないなんてことは、臨床医なら誰でも知っています。だから普通の医師にひと言相談すれば、こんなムダな税金の使い方は防げたはずですけどね。

 

 薬物検査キットは9000千体に実施されたとのことですから、これは有意義だと言えましょう。そしてCTは1600体に実施されていたとのことでした。エコーの実に二十倍の実施率です。

 

 携帯エコーより、CT実施の方が大変なのは明らかなのにこの件数の違いが出るということは、携帯エコー配備がムダだ、ということの証明にもなるでしょう。

 

 このムダな配備の責任は、一体誰が取るのでしょうか。法医学会で携帯エコーを推奨した、法医学者が取ってくれるのでしょうか。

 

 

 興味深いのは、これは警察庁が手集計で作った特別資料とのことで、議事録では検案、エコー、薬物検査キット、CTについての総数は述べられているのですが、肝心の解剖総数については触れられていません。資料に掲載されているのかもしれませんが議事録からは読み取れません。資料を確認してみたいところですが、もしそこに司法解剖の例数が記載されていないとしたら、検案などについて調べたことを思えば、当然追記すべきものを忌避したと考えざるを得ません。そこは、資料をお持ちの方に確かめてから、改めて申し上げたいと思います。

 

 でも解剖を推奨する警察庁なら、こういう時に解剖の例数も挙げるのが当然だと思うのですが、意外ですね。それにしてはメディアには解剖主体とアドバルーンを上げることが多いような気がしますが。

 

 

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