案外、両方とも事実だったりして。だとしたら目も当てられませんが。
上記のどちらのケースが真実であったとしても、法医学会が主催する解剖制度に大穴が空いているという事実は確実です。バケツの穴を塞がずに水ばかりを欲しがるのは、自分勝手すぎるでしょう。法医学者の言い分を聞いて新組織を作ると、税金ばかり食って実効性に乏しい、市民社会にとっては害悪のような組織になりかねません。
ただし、こうした会議に正式な数字として警察庁が公式報告しているわけですから、神奈川県監察医務院がきちんと解剖しているということには、警察庁がお墨付きを与えているわけです。だとすると一般の法医学者は神奈川県監察医務院の人たちの半分以下しか仕事をしていない、というのが実態なのかもしれませんね。
法医学会の先生たちは、きちんと働くか、あるいは横浜市監察医務院の先生たちの仕事ぶりを糾弾するか、どちらかを選択するしか、市民社会からの信頼は取り戻すことはできないでしょう。
警察庁は、捜査で実施するCTの依頼の主体は警察だ、ということも明瞭に答えていました。すると私が危惧していた通り、Aiの情報も捜査情報だということで公開しない原則にしてしまう恐れが出てきます。
第3回の検討会では具体的で明確な数字が現れてきました。2012年7月〜9月までの3ヶ月で、検案の取り扱い数はおよそ3万5千体、うち監察医が6500体、19%。大学の法医学教室が2000体で5%ちょっと、全体の半数近い1万6千体を警察医が行っているという実態が明らかになりました。搬送先の病院の医師に頼むのが8700体、25%で主治医が現場に行くのが1100体だそうです。
こうして見ると日本の死因究明制度の最前線を担っているのは実は臨床医なのだとわかります。法医学者が行う検案は全死者の四分の一にすぎないのです。その四分の一の人たちの声ばかりが通ると、残りの七割五分を実施している医療関係者が疲弊してしまいます。こうした基礎データがオープンになっただけでも、この検討会を設置した意義は大きいといえましょう。