海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.02.19 2013:02:19:16:44:00

モデル事業が取材を受けないわけ、あるいは司法解剖が増えないのに問題にされないことなど。

 そんなことをしているから死因究明推進法案により設置された検討会に日本医師会、法医学会、放射線学会の代表者は招かれたのに、病理学会は無視されてしまうのですよ。この社会を少しでもよくしようと思っている人の中には、拙著『ゴーゴーAi』(講談社)や『ほんとうの診断学』を読んでくださっている有識者が少なからずいて、問題の本質をきっちり理解してしまっています。その証拠に、たとえば千葉大法医学教室の画像診断の記事は、今やほぼ消滅しています。今後そんな記事が出たら、それは記者の勉強不足を露呈するだけのことでしょう。

 

 それにしても死因究明の仕組み作りに、病理解剖を業務とする病理学会代表が招かれないなんて情けない話です。どうしてそんなことになってしまったのかといえば、Aiに対し病理学会上層部がやった非常識な対応により、社会からの信頼を失ったのではないでしょうか。でなければ解剖を業務にしながら、死因究明制度の検討会に代表者が招かれないなどという状態の説明がつきません。そのあたりの事情は拙著『ほんとうの診断学』や、過去のブログをお読みいただけるとわかると思いますのでここでは控えておきます。いやあ、大人になったなあ、私。

 

 

 さて、昨年六月に成立した死因究明関連二法案は、ひとつは自民党が推進した時限立法である死因究明推進法で死因究明の枠組を決めるもの、もうひとつは警察関連死因究明法で、民主党が推進し、警察の実地用の法律です。この二法は情報公開について条文にまったく記載がない、冤罪の素地になりかねないものだということは、このブログでも指摘してきました。しかしこの法案を推進した民主党議員は誰一人として、こうした指摘に耳を傾けようとせず、結局、自民党議員の熱意によって法案に付帯決議は何とかつけられたものの、修正されずに通過してしまいました。今、この法案成立を積極的に推進した議員たちのほとんどは、昨年暮れの総選挙で落選しています。

 

 そんな中、上記の死因究明に関する検討会は自民党が推進した時限立法である死因究明推進法に基づいて設置されたもので、重要な意味を持っています。自民党でこの問題に早くから対応していた橋本岳議員が国会議員に返り咲き、事務局長になったそうなので、こうした問題は改善されるかもしれません。選挙公約にわざわざ、死亡時画像診断の導入や費用拠出の検討を謳ったくらいですから、期待はしているんですよ、自民党さん。政権交代直後にモデル事業の費用はAiにつけかえる、などと勇ましいことを言いながら、結局はモデル事業ひとつ潰せなかった民主党さんの轍は踏まないでくださいね。 

 

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