海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.02.19 2013:02:19:16:44:00

モデル事業が取材を受けないわけ、あるいは司法解剖が増えないのに問題にされないことなど。

 でもここまでは序の口、最大の問題はモデル事業の骨格がグズグズだったということです。

 

 そもそもモデル事業は、2006年の福島県立大野病院事件などの実例にもあった通り、医療現場が、警察の不当介入によって壊滅的にさせられてしまう事態を避けたいという要請があったため創設されたものと聞いています。それなのに、大阪事務所ではまず警察に報告、相談してからモデル事業に対応するか決めていたのだそうです。警察介入を避けるどころか、警察の指示の下でモデル事業が運営、実施されていたわけで、これは医療安全評価機構の趣旨から完全に逸脱しています。さらに驚いたことに、機構はこうした事実を知りながらそれを容認していたというのです。警察にかかる前に医療現場で自己判断するという仕組みを作りたいと公言し、関連学会からカネを集めながら、まず警察に適否判断を仰いで振り分ける仕組みも認めているわけで、これでは羊頭狗肉の謗りはまぬがれないでしょう。何とも呆れた話です。

 

 大阪事務所責任者である前任者は任期切れで退任し、阪大の法医の教授は今空位ですので、新しい教授の対応が見物です。警察にモデル事業解剖の可否判断を仰いでから実施するという、モデル事業の創設趣旨とは正反対のシステムが改めて維持されるとしたら、もはやモデル事業は内部崩壊しているということになるでしょう。

 

 おそらく大阪府警は今後も同様の依頼をしてくるでしょうが、それを受け入れるということは、モデル事業や医療安全調査機構の本旨からすれば裏切り行為に等しい。このあたりは、モデル事業を実施する医療安全評価機構に説明責任を果たしていただきたいものです。そしてこれを機に、まず警察に判断を仰ぐという現在の大阪事務所固有のシステムを変更するよう、指導すべきでしょう。それができなければモデル事業、並びに医療安全調査機構は撤廃すべきです。

 

 日本医師会はモデル事業存続に、年間一千万円もの費用を拠出しているというウワサがありますが、警察へ事前報告を行う大阪事務局を容認していることを知ってなおかつ、そんな協力をしているのでしょうか。だとしたら医師会会員に対する背信行為になりかねないと思うのですが、いかがでしょう。

 

 医師会の担当理事の先生は、こんなモデル事業への忠誠を優先し、Aiをないがしろに扱うようにみえるのだから、私が途方に暮れてしまうのもわかっていただけるかと思います。

 

 

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