やはり現場ではAiはもはや実際に導入されていることはほぼ間違いなさそうです。
それから鹿児島入りし、鹿児島のAi導入の中心人物、三宅病院の三宅先生と懇談しました。三宅先生のご厚意で、屋久島へご一緒させていただきました。縄文杉を見たかったのですが、朝四時起きと聞いてあえなく断念。ただ、離島ではやはりAiの必要性が高いだろうなあ、ということを実感しながらあちこちをうろうろしました。
三宅先生、いろいろとお世話になり、ありがとうございました。
10月6日は佐賀大学医学部のむつごろう祭で講演でした。佐賀大学医学部にはAiセンターがあり、実にきちんと構築されたシステムなので褒めちぎりました。Aiは素晴らしいといいながら、実際はぴくりとも動かない施設も圧倒的に多いので、Aiセンターの看板が上がっただけで素晴らしいということは間違いありません。
ところが質疑応答の時に、驚くべき質問が飛びだしました。
自宅でお母さんが大往生を遂げた遺族の方がAiセンターに死因究明を依頼したのですが、その時に異状死扱いにしますと宣告されて、とても嫌な気持ちになったというのです。自宅療養で穏やかに無くなったけれども、一応、死因を調べてもらった方がいいだろうということでその遺族の方はAiセンターの存在を知っていたので、依頼したのに、なんだかがっかりしてしまったというのです。そして「Aiセンターって、本当に先生のおっしゃるような素晴らしいものなのですか」と問い返されてしまいました。
そう言いたくなる気持ちはよくわかります。その方は医師で、佐賀医大の一期生だったというのですから。
実は私は話の途中から、そんな風に変質してしまった理由に気づいていました。
Aiセンターは死因を医療現場でスキャンして、異状死かどうか振り分ける、というところに意義があります。つまりAiセンターで検査を実施するまでは、異状死扱いする必要はないのです。ところがそうしたことを理解している、先駆けである佐賀大学のAiセンターでそのようなことが起こってしまったのはなぜでしょうか。
理由は簡単、佐賀大学医学部のAiセンターが、厚生労働省が主導している医療事故に関するモデル事業に参加してしまったからです。モデル事業は解剖を主体にして、Aiをオマケ的に扱いながら、Aiセンターがある大学をモデル事業に参加させるという姑息な手段で、Aiをモデル事業に組み込もうとしています。