海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.02.24 2011:02:24:23:18:55

「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会報告書(案) 」の問題点

全国的な体制整備に向けての考え方

厚生労働省;死亡時画像診断の全国的な体制整備のためには、死亡時画像診断の意義(有用性と限界、対象とすべき死体の範囲等)について、医療関係者のみならず患者・家族を含む国民に対し広く周知し、国民的理解を促進することが肝要である。死亡時画像診断は、医療関係者や死亡原因を知りたい遺族、警察等から依頼されることが想定されるため、それぞれの地域において、厚生労働省や警察庁の国庫補助を活用しつつ死亡時画像診断を実施できる体制を検討していくことが必要である。その他、実施機関においては地域の実情に沿った専門受付窓口の設置及び土日・祝日も含めた24時間体制の整備や、遺族等の承諾を得ずに迅速な死亡原因を究明するために、小児の不慮の事故全例について死亡時画像診断が実施可能な制度、また医療従事者の負担軽減にも考慮した基準等の作成など、地域における体制についても検討しておく必要がある。以上のような施策により、全国均質な死因究明の体制の整備が進むと考えられる。


 

 上記ほどの格調高い提言をするなら、診断費用の拠出が肝要です。でないと医療現場はとんでもない状況になってしまいます。
 

 

死亡時画像診断にかかる費用負担のあり方
厚生労働省;費用負担については、異状死の場合、診療行為に関連した死亡であって遺族又は医療機関が希望する場合、虐待などが疑われる場合等でそれぞれの状況や社会的役割が異なることから、費用対効果や緊急性等を勘案し検討する必要がある。特に小児の不慮の事故による死亡事例の死亡原因の究明については、社会的期待や緊急性も大きいことから、国の財政事情が厳しい中ではあるが、厚生労働省や警察庁における既存事業の予算の拡充を図る等の対応を検討することが望まれる。
 

 

 ここはキモです。これでは異状死の場合しか費用も支払われないと誤解(理解?笑)されかねません。「費用対効果や緊急性を勘案し」という部分は「Ai実施症例全例の検査費の拠出を目指す」としないと大変です。条件付き支払いだと実施が恣意的になり、取りっぱぐれやスキャン機能が働かなくなる。検査に費用を払う仕組みを作るのは当たり前。これでは、Aiはタダ働きをせよ、と厚生労働省が追認しているようなものです。


 厚生労働省の指導に従えば現場の医療施設は潰れてしまう。ちなみにこの文章は委員の意見ではありません。委員は全員「Ai費用の国家拠出を望む」と明確かつシンプルに主張しています。では上記のように主張しているのは誰か。事務局(厚生労働省)だと、私は思います。
 

 

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