海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.02.24 2011:02:24:23:18:55

「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会報告書(案) 」の問題点

死亡時画像診断を活用すべき遺体の範囲

厚生労働省;死亡時画像の活用が期待できる遺体の範囲は、病死や自然死を含めた死亡原因が不明の死体であり、具体的には、診療関連死や自宅等で死亡した遺体、医学の発展を目的とした病理解剖を行う遺体が対象となる。
 

 これは医学的記述として大きな間違いです。Aiの活用が期待できる遺体の範囲は、すべての遺体に決まっているのですから。
 

活用(応用)
厚生労働省;医学の発展や公衆衛生の向上、犯罪死の見逃し防止等とともに、大切な家族等を亡くした遺族の心情を配慮すれば、死亡の原因を正確に究明することは重要である。


 

 ほらね、ここではすべての遺体が対象になっている。論理整合性のない、パッチワーク文章にはポリシーがないのです。
 

厚生労働省;死亡時画像診断では、全ての死亡について原因究明できるものではないが、これまでは遺族等の解剖の同意が得られず「死因不詳」とされてきたものや「心不全」等と診断されていたものをより詳しく診断することができることは明らかである。また、解剖を実施する場合でも事前に死亡時画像を撮影・診断することにより、より正確かつ迅速な死因究明が期待できる。
 

 おっしゃるとおりなのですが、折角専門家が集った会議の報告書なので、具体的なパーセンテージを挙げたら親切だと思うんですけど。たとえば「死因究明率はAiにおいてCT30%、MRI60%、解剖は75%で、いかなる検査でも100%の死因究明はできない」とか。画像診断は絶対でないと明記されるのに、解剖も絶対でないということは明記されない。それはバランスが悪いですね。
 

厚生労働省;遺族が医療機関による死亡原因の説明に納得していない場合や、医療機関が遺族に死亡原因について十分な説明ができない場合には、死亡時画像診断は、より正確な死亡原因の究明に寄与できるものと考えられる。なお、犯罪死の見逃し防止における死亡時画像の活用の在り方については、引き続き、警察庁における検討を見守る必要がある。
 
 

 警察庁の検討は見守るのではなく積極的に共同討議しないと大変なことになります。でも厚生労働省は認識が低く、危機感も薄い。『アリアドネの弾丸』を読んで、少し勉強してほしいです。
 

 

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