海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.02.24 2011:02:24:23:18:55

「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会報告書(案) 」の問題点

 厚生労働省:一方、厚生労働省においては、平成22年度から異状死死因究明支援事業の一環として、監察医制度が運用されていない地域で異状死の死因究明のため、法医学教室との連携により独自の解剖の取り組みを行っている自治体に対し、解剖経費等(死亡時画像診断を使用する場合の経費を含む。)の財政支援を開始するとともに、異状死の死因究明のための死亡時画像診断の施設・設備整備を補助する「死亡時画像診断システム整備事業」を医療施設等施設・整備のメニューに追加し、対応している。

 

  欺瞞です。拙著『ゴーゴーAi』を引用します。厚労省はAiの費用拠出をしないのに、あたかも負担しているように見せかける。新聞やテレビがこうした役所の欺瞞を暴くべきなんですけど、彼らは記者クラブ経費負担などの飴玉をあてがわれていますので期待薄でしょう。
 

 

「異状死死因究明モデル事業」と「死亡時画像診断システム整備事業」
厚生労働省は10年度から行政解剖の体制づくりを支援する「異状死死因究明モデル事業」を新たに実施する。2月26日の全国医政関係主管課長会議で、実施要綱と交付要綱の案を説明した。厚労省によると監察医制度が適用される東京23区、大阪市など以外では異状死の死因究明のための解剖は広く実施されているとはいえない。このため法医学教室との連携で独自の解剖を行う地方公共団体を財政支援する。補助基準として年間の解剖取り扱い件数が「おおむね30件程度」。一ヵ所の事業費の上限は554万6千円。全国10ヵ所程度を想定。
 
 ◇Aiの整備事業も実施 

同モデル事業ではAiを使用する場合の経費も含む。厚労省は「死亡時画像診断システム整備事業」も併せて実施する。死亡時画像診断の画像の撮影、診断、管理、教育研修の体制整備が計画されていることが条件。同事業で整備を行った死亡時画像診断システムについては、毎年度12月月末日現在の稼働実績を報告することも義務付ける。

                (201031日メディファックスより『ゴーゴーAi』から引用)

 

 

 記事を見た瞬間、絶句。いきなり「異状死死因究明モデル事業」が立ち上がるなど、滅茶苦茶だ。「(異状死死因究明モデル事業では)Aiの整備事業も実施される」とあるが解剖主体でAiは補助扱い。全国10ヵ所程度の自治体に上限 554万6千円の補助金を出すも、解剖1体25万円で計算すると解剖20件で補助金は使い切り、Ai予算はゼロに。これでは放射線科医はタダ働きだが、それが「死亡時画像診断システム整備事業も併せて実施する」という一文の意味。ついに厚労省が意図を露わにし、Aiをフリーライドすべく暴走を始めたわけだ。
 

「死亡時画像診断の意義」「死亡時画像診断の資料の保存と情報開示」「遺族への説明等実施体制等の整備について」、このあたりは日本放射線学会、日本放射線技師会、日本医師会、Ai学会の意見が集約されているので、妥当で問題ありません。放射線科医でAi読影のスペシャリストの塩谷先生や山本先生、小児放射線科医の相田先生がご苦労されたのではないかと推測します。
 

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