海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.02.24 2011:02:24:23:18:55

「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会報告書(案) 」の問題点

 現状 
厚生労働省;異状死の死亡原因を診断する方法は、一般的に診断率の低い順から「検視・検案」、「死後画像」、「解剖」と考えられており、我が国における一般的な死因究明の手法は、診断率が高いとされる「解剖」である。しかし、年間約110万人の死亡者が生じる我が国においては、異状死の解剖率は諸外国と比較して低く 、全国の警察が昨年1年間に扱った遺体約17万体(交通事故を除く)に限った場合でも解剖率は11%程度にとどまっているのが現状である。
 

    厚生労働省が腐心するごまかし領域です。「年間110万人の死亡者が生じる我が国においては」の続きがどうして、「17万人の異状死の解剖率」につながるのか。「日本全体の解剖率」を提示しないのはおかしい。理由は簡単で、厚生労働省・医療安全推進室は解剖率を把握していないから警察庁の統計、異状死の解剖率でごまかしているのです。私が2010年8月に参考人として発表した際、正確を期すため厚生労働省医療安全推進室に2009年の剖検率を問い合わせたところ、把握していないという回答を得ました。発表の際、その点を遺憾と述べました(なぜか議事録ではそのくだりは記載されていませんが、見逃したのは武士の情けです)。最初の段落で「医療機関で亡くなった場合には、遺族等の承諾のもと病理解剖が行われるが」としながらトータルの解剖率を把握せず、解剖主体の死因究明制度を構築しようとする。厚生労働省の姿勢は不誠実です。こうした批判をして、果たして厚生労働省がきちんと2009年の日本全体の解剖率を記載してくるかどうか、乞うご期待。
 

厚生労働省:これは、監察医制度における解剖や司法解剖以外で解剖を行う際には、遺族等の承諾が必要であることに起因していると考えられている。例えば、厚生労働省国庫補助事業である「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」(以下、「モデル事業」という) において、依頼者から解剖を含む当該事業への相談はあったものの、実際に受付に至らなかった場合の理由の多くは、「解剖に対する遺族の同意が得られない。」という状況であることからも、日本の低い解剖率の要因が推察できる。また、監察医制度が全国的に整備されていないことも理由の一つとして挙げられる。異状死の解剖率に関する議論の中心は、「検視・検案から死後画像」の部分であり、死後画像においては、死因のスクリーニング、解剖に回さなければならない症例のトリアージと相補的役割が期待されており、欧米等の諸外国においては、特定の法医学施設が、死体専用機を用いて死後画像を撮影している。
 

  モデル事業は大失敗で事業仕分けの俎上にのせられ、毛嫌いしていたAiもやりますから、と膝を折り首の皮一枚で生き延びた筋悪の企画なので、こんな風に記載しなくてもいいのに、と思います。文章を素直に読めば、解剖主体の死因究明制度はすでに崩壊していると厚生労働省も結論づけているかのようですね。遺族承諾が得られないのは解剖の意義が国民に理解されず、かつ解剖が時代と社会に合っていないからです。監察医制度に言及するなら全国五都市のみ適用で、うち二カ所は実質崩壊していることも述べなければ不適切でしょう。
 

厚生労働省:日本医師会に設けられた死亡時画像病理診断活用に関する検討委員会において、全日本病院協会、日本病院協会の協力のもと、平成○○○○月に実施されたアンケート調査(一般病床を有する病院6,150施設に対するアンケート調査、有効回答数は2,450施設<有効回答率39.8>)によると、患者死亡時または死亡後、あるいは警察からの依頼により、何らかの画像を撮影したことのある医療機関は876施設(35.8)であった。これは、現状において既に3割を超える医療機関において死体を撮影した実績があることを示している。また、死亡時画像にかかる費用負担については、同アンケート調査において、有効回答数855施設のうち半数を超える445 施設 (52.0%)が「自施設の負担」で死亡時画を行い、次いで、「遺族等の負担」によって賄われたという結果を示している。なお、警察からの依頼により死亡時画像診断を実施した場合の負担割合については、警察が約5割弱、遺族が約4割弱、実施施設が1割強という結果が示されている。また、死後画像の撮影にかかる負担額(適正金額)については、1件当たり20,001円~30,000円とする施設の割合が3割強で最も多いという結果が示されている。

 

  日本の医療現場ですでにAiが行われている実態が明瞭です。Aiは日本ではすでに現場導入されているのです。日本医師会のアンケート調査の方が、よほど国の公的機関的な視野の広さを持っていることが一目瞭然です。
 

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