海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.04.04 2013:04:04:11:26:21

内科学会と法医学会は変わろうとしないが、日本医師会と小児科学会の動向に期待する。

 内科学会のパネルディスカッションでサポートしようとしている医療安全調査機構の内実は、モデル事業についた予算の受け皿組織です。こんなことをやっていたら、日本の国力は疲弊し、医療現場は市民社会からの信頼を失ってしまうことでしょう。

 

 

 

 また法医学会が抱える情報非公開の体質に基づく独善性にも改善の傾向がみられないどころか、むしろ亢進しているように思えてなりません。Aiに関しても分派運動がひっそり始まっていて、法医画像勉強会なる分科会を参加者三十名弱で実施しているようです。その事実を知ったAi学会理事がAi学会との共催を持ちかけたようですが、「今後の活動方針としては法医学を中心として開催する」と断られたようです。

 

 第10回Ai学会シンポジウムで法医学の在り方に対する批判が出て、それが一人歩きしているようだということでした。まさしくそうした姿勢こそ現代社会においては問題なのだ、と言い続けているのですが、法医学会の考え方は変わらないのでしょう。

 

 今、法医学会の中枢を支えている人たちでは、法医学会、及び法医学の宿痾である情報閉鎖性への改革は不可能なようですので、新しい世代の人たちが育ち、代替わりするのを待つことにしましょう。それまでは外部から法医学会の動向を監視し続けることが、今、市民社会に求められているのです。

 

 

「いい加減な司法解剖がまかり通り、監査もされない」という事実を批判すると、ヘソを曲げ自分たちのコミュニティに閉じこもる。こうした態度を「幼稚」というのですが、どうも最近の日本では、異論に是々非々で対応できず、市民社会への目配りに欠けた「幼稚なひと」が偉くなっているような気がしてなりません。

 

 医学界もそうですが文壇も同じようなものだ、と最近しみじみ感じている出来事を目の当たりにしました。これは日本社会の偉い人たちに共通する病気、「お山の大将症候群」なのでしょう。

 

 

 最後に先日、NHKスペシャル『アイスマン』を見ました。5300年前にアルプス氷河で死亡した男性の冷凍ミイラで、テレビ紹介欄には「脳や腸のサンプルからは死に至る経緯が推定された」とありました。しかし「死に至る経緯」を明らかにしたのはAiでした。X線やCTで鎖骨部分に矢じりが刺さっていることが判明したからです。

 

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