海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.04.25 2013:04:25:19:49:13

自民党政務調査会、第一回死因究明体制推進に関するプロジェクトチームで講演を。

 私の場合、話がいきなり急展開してジェットコースターのようになってしまうことがこれまでもよくありましたが、今回の件は、まさにそんなことの一つの象徴です。

 

 突然、自民党の橋本岳衆議院議員から自民党政務委員会プロジェクトチームで講演をするように依頼されたのは、講演の一週間前でした。

 

 知り合いの政治通に伺ったところ、とても国政に影響のある会だから是非受けなさいというアドバイスをいただき、即座にお返事をしたら、何と一週間後に実現するということになりました。それから資料を作成し、レジュメを作っていたら一週間はあっという間に過ぎました。

 

 4月19日木曜日朝八時。自民党本部7階には、十名を越える国会議員の方たちと、四十名を越える官僚の方たちがずらりと並んでいました。

 

 そんな中、私にしては穏やかに三十分の講演を終えました。話していることはいつもと同じで、解剖は2パーセントしか実施されないから死因究明制度の土台に据えると死因究明制度は機能しなくなってしまう、だからAiを優先的かつ中心に置いたシステムにすべし、そのために専門医である放射線科医が読影するシステムにすべきである、ということを淡々と述べただけです。

 

 講演が終了し、質疑応答になったのですが、その時に迫力あるやりとりがありました。議員の方が意見を述べた後、小児Aiの全例実施は不可能かと尋ねたところ、厚生労働省の担当官は「小児死亡全例実施となるとコンセンサスが必要で、遺族の承諾を得るのが基本かと思われる」と答えたのです。しかし講演の中で、虐待児の両親は解剖要請を拒否するという記事の例を出していたので、遺族承諾を得るようにすると虐待児を見逃すことになってしまうのでは、と私が尋ねました。すると厚生労働省の担当官は「その場合は事件性があるので捜査マターになると思われます」と答えました。なるほど、霞が関の論理ではその通りなのでしょう。けれども現場では犯罪性の有無を医療従事者が判断しなくてはならず、その場合Aiは大変強力なツールになるはずなのです。それなのに、遺族承諾が必須だなどと、遺体損壊する解剖と同様の枷を嵌めるのは、明らかに無意味であり、却ってAiの特性を台無しにするような愚策に思えます。また現場の小児科医からの生の声、Aiを医師の判断で実施するとなると、Aiの申し出をする、イコール虐待を疑っていると勘繰られる可能性があるので、無条件に全数実施をしたいという、厚生労働省の検討会で出された意見について、配慮されていないことにも愕然としました。

 

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