発表者の大半は東京、もしくは東京近辺の方で占められています。医療安全調査機構の事務局は東京の浜松町にあり、東京とのコンタクトだけは密に行われているそうですから、ひょっとしたら内科学会を始めとする学会上層部の人たちも事務局に騙されているのかもしれません。
だって、大阪事務所は、警察に相談してからモデル事業解剖の適否を決めているというシステムなんですよ。これって、医療安全調査機構の創設精神からしたら、見事な裏切り行為だと思うのですが、見て見ぬふりをしているというのだから、驚きです。
でもこのシステムは日本全国で展開するためのものです。それが取材対応さえきちんとできないようでは、デリケートな医療事故問題を扱うなど、とうていできそうにないと思うのは私だけでしょうか。どんなパネルディスカッションになるのか、興味津々です。覗きにいこうかなあ(笑)。
さて、内科学会のお次は小児学会です。
3月24日に第26回近畿小児科学会学術集会にて、千人弱の現場の小児科医の先生方の前で話をしてきました。上記の、モデル事業大阪事務局の基本方針が、モデル事業の解剖の可否を警察と相談して決めているという事実をご存じの方は会場にはいらっしゃらなかったようで、みなさん、驚かれていました。
そんな中で聞いたところによると、小児科学会では、小児のデス・レビュー(死亡症例の検討)の重要性を訴えていて、重点方針として上げているのだそうです。医学は死者に学ぶのが基本である以上、当然のことです。そして昔はそうした手法には解剖しかありませんでしたが、現代の医学のスタンダードにはAiという大変有用な検査があります。
私が医学生の頃、大学で小児科の教授から、「小児が亡くなるというのは生物学的にイレギュラーなことだから、小児死亡例は全例解剖すべし、というのが小児科の基本原則です」と教わりました。ところが現在、小児死亡例の解剖は1〜2パーセント程度といわれています。これで解剖をベースにしたら、小児のデス・レビューの重視なんて、絵に描いた餅になります。
でもここでAiをベースに置き、小児全例にAiを実施すれば、素晴らしいデス・レビューが、遺族の心情を傷つけることなく可能になります。