司法解剖鑑定結果は捜査情報の一部として、警察によって非開示にされている。その理由のひとつには冒頭に述べた通り、秘匿された情報には価値があり、そこに警察官が便宜供与を受けるという旨味を見いだしているという部分も少なからずあるからに違いない。もちろんそれがすべてとはいいませんが、品川美容外科に二人も警察官OBが就職斡旋を受けていたという事実から、そうした旨味は相当なものだったと思われます。
死因は捜査情報ではありません。もしも死因が捜査情報であるなら、多くの事件で週刊誌や新聞に公表されている報道はすべて、情報漏洩により地方公務員法に抵触することになるでしょう。問題は、裁判にならなければ司法解剖鑑定結果は開示義務すらない、ということです。そうなると死因は闇に葬り去られてしまいます。これを続けると、司法解剖の質がどんどん低下していくでしょう。監査されない検査は、腐敗するのが相場ですから。
ここでAiを医療現場で実施し、診断結果を市民社会に公表する、というAiプリンシプルが社会に導入されれば、司法解剖鑑定結果が追随し、死因開示のシステム構築が促進されるに違いありません。
法医学者にAiを仕切らせると、Ai情報までも捜査情報の枠組みに組み込み、司法解剖鑑定結果同様、社会に非開示にしかねません。ですからAiは、たとえ司法解剖の現場で発生したものでも、医療現場での診断を委託し、精査されなければならないのです。
霞ヶ関の仲良しの一部法医学者たちは、解剖費用の増額を求める前に、まず自分たちで、司法解剖の質の監査、そして死因情報の市民社会への開示をするシステムを模索するべきでしょう。そうしなければ、法医学者たちは市民社会からの信頼を失いかねません。
何よりそれは、市民社会のためなのです。