海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.09.16 2011:09:16:16:45:36

医師会主催のAi学術シンポジウムと、品川美容外科事件における警察のタカリ体質

 さて、今日のメインは、「なぜ警察は死因情報を捜査情報として非開示にしたがるのか」という話です。答えは簡単で「死因情報を非開示にしておけば、情報提供で便宜供与を受けられるから」です。

 

「品川美容外科術後死事件」は、脂肪吸引手術を受けた方が数日後、自宅で亡くなったという事件です。腹痛を訴えた患者に対する対応が不適切ではなかったか、という指摘が事件直後からなされていました。事件当時、私は「とくダネ!」のコメンテーターで「司法解剖情報を開示しなければ、医療現場だって誠実に対応できません」と申し上げ、その場の賛同を得た覚えがあります。

 

 しかし今回取り上げるのは、その事件そのものではなく、それに伴って起きた捜査官による情報漏洩事件です。

 

「品川美容外科・術後死事件」では、品川美容外科に捜査情報が漏れていたと報道されました。漏らしたのは現場捜査官で、品川美容外科に再就職していたOBに捜査情報を提供したのだそうです。中には司法解剖鑑定結果も含まれていました。そして捜査情報を漏らした捜査官は、地方公務員法に違反し懲戒免職になりました。

 

 しかしちょっと待ってください。

 

 医療事故事件の捜査関係者が一体なぜ、品川美容外科に再就職していたのでしょうか。ひょっとして医療事故捜査を行なうと通告した後に、なんらかの手心を加えてやるからその代わりに、などと警察サイドからバーターでOBの就職を持ちかけたのではないでしょうか。

 

 そんな申し出をされれば、医療サイドは呑まざるを得ません。もし断ったら、国家権力を使って何をされるかわかりませんから。

 

 そうやって泣く泣く斡旋を呑ませたのではないでしょうか。

 

 少なくともこうした申し出を、医療施設から持ちかけるわけにはいきません。もしそんなことをして捜査本部の気分を害したら、いきなり公表されてしまう可能性だってあり、そうなったらその医療施設の信頼は失墜し、とんでもない事態になってしまいます。

 

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