モデル事業を維持、推進しようとしている厚生労働省医療安全推進室、ならびに内科学会、外科学会、病理学会、法医学会の一部上層部の人々、そして日本医師間の担当理事は、後世に、医療を壊すシステムを自ら構築を促進させたという謗りを受けることでしょう。その人たちの名簿は明記されています。
では、「品川美容外科術死・捜査情報漏洩事件」のようなことを二度と起こさないようにするためには、一体どうすればいいのでしょう。答えは簡単です。
それは司法解剖鑑定結果を捜査情報から外し、中立的立場から公表するシステムにすればいいのです。そうすれば何が起こったか、医療従事者も理解し、もしミスであれば謝罪対応ができます。しかし司法解剖鑑定結果が開示されなければ、そういう対応はできません。つまりモデル事業の存続を目指すよりも、まずは司法解剖鑑定結果を捜査情報から除外し、公表させる仕組みに変更させるというのが、医療側から捜査サイドに働きかけることができる、具体的で現在可能な対応方法だと思われます。
品川美容外科事件は、発生から2年以上経過し、いきなり執刀医が逮捕されました。これは福島県大野病院事件とよく似た構図です。もし司法解剖鑑定結果が、医療事故を疑わせるものであるのなら、どうして逮捕まで2年もかかったのでしょうか。興味深いのはある週刊誌の記事です。「新任の検事が事件に"マキ"を掛け、逮捕する方向に進めた」らしいのです。これも裏付けは一般市民には取ることができませんが、一部報道であったもの。ということは医療事故事件の捜査は、検察の恣意的に進められたり中止されたりするものなのでしょう。
そんな中、過去の捜査現場のいい加減さが噴出しています。これでは医療はもっとひどいんだ、というサブリミナルな情報操作をして目くらましをしようという手段にも思えます。ですが市民はもう学んでしまった。福島県大野病院事件での、司法の医療に対する不誠実な姿勢、そしてメディア報道の偏向を目の当たりにして、良識ある市民が正気に返ったのです。そして覚醒した市民は日々、増え続けている。
そんな流れを物語で実感したい方は、拙著の『イノセント・ゲリラの祝祭』『アリアドネの弾丸』『ナニワ・モンスター』の三連続読破をお勧めします(笑)。
司法解剖鑑定結果が初期に公表されれば、医療側と患者サイドで話し合いの場を持てます。悪質なケースでなければ、そうした解決策の方が遺族にとっても医療現場にとっても望ましいに違いありません。