この呼びかけにさまざまな学会員が対応しました。車載式CT車を扱うフリールという会社の平川社長には、警察庁にCT車の派遣が可能であることを連絡してもらいました。そして法医学会の提言通り、指揮系統の混乱を避けるため死体検案支援対策本部を頂点とした体系にAi学会も従うと宣言し、個人識別に関してAi学会として対応する用意があることを告知しました。
こういう際には死因究明よりも個体識別に重点がおかれます。
1.着衣のままでの撮影
2.手術痕などの体表所見の記録
3.ステントなど、治療器具が体内にあれば重要情報なので必ず記録
4.どの遺体を撮影したか間違えないように必ずタグをつける。
こうしたことは、Ai学会関連の議論で行われていたことを改めて告知したわけです。さらにAi学会として、撮影時に対応できる遺体袋(匂いも体液も漏れないすぐれもの)を扱うセフティーワンの紹介もしています。
呼びかけに即座に反応したのがAi学会に属する歯科医の先生方でした。東京歯科大の法歯学の花岡先生からは歯科用X線照射装置とインスタントフィルムの準備をお願いしたい、との由が発信されました。可能ならデジタル線解析装置も望まれるとのことでした。警察庁には昨年予算がついたようですが、まだ配備は十分でないとのこと。また愛知県警察歯科医師会理事の大野先生からは訪問歯科診療を行っていてX線装置を持っている歯科医に協力要請をしたらどうかというサジェスチョンもありました。大切なことは、こうした議論が必要に応じて即座にできる環境作りでしょう。議論を傍受している多くの方に情報が入ることは大切です。専門家の閉じたサークルでなく、情報発信し共有することで、医療界全体の認識が向上するので。Ai学会はまさにそうした社会インフラとしての機能を有していることが明確になりました。