ですからこの公募研究は、近々に、経済資源配分の見直しを行うという形で決着せざるを得なくなるでしょう。
なぜ、そう予言できるのかって? そうしないと、日本の科研費研究が妥当性を欠き、グローバルスタンダードに反したものだ、ということが公認され、日本の科学全体がそのように見られてしまうから。他に道はないのです。
先行研究を十分リスペクトすること。これは科学の原則です。
今回のような行為を全く問題視しないのならば、その団体は世の中から批判を浴びることになると私は思います。それだけではありません。日本の科学が、世界の科学界からつまはじきにあってしまうことにすらなりかねないと感じます。
この件は、実はそれくらいの大問題なのです。学会上層部の人たちの目には、問題の大きさが正しく認識されてはいないようですが。
一般市民は、そして日本の社会の未来を担う子どもたちは、こうしたことの経緯をじっと見つめています。
日本の未来のために正しい決断を。官僚と学術分野の先達たちに強く望みます。
2008.04.21(海堂 尊 2011.08.01修正)