え? 厚生労働省は、この公募研究をエーアイとして認識していないのではないか、とお尋ねですか? それは違います。厚生労働省の担当官は国会で、「オートプシーイメージングに関してつけたものだ」と答弁しているのです。彼ら官僚にとって、国会答弁ほど重いものはありません。この公募研究は、まごうことなく、オートプシーイメージングに関してつけられた公募研究なのです。
素晴らしい進歩だ、と言えるでしょう。
さて、問題は、こうした公募研究に主任研究官として応募したのが深山教授(東大病理学教室)で、それを支えたのが病理学会理事長の長村教授(東海大学)だという点です。
彼らは、エーアイ自体に関する研究実績は全くありません。であるにもかかわらず公募研究に主任研究官として応募した。
前述のとおりこの公募研究はオートプシーイメージングに関してつけられたものであり、このような深山教授の応募は、エーアイの先行研究へのリスペクトを欠いています。
公募研究に応募するときには、数名の班員を決めて応募します。彼らがこうした公募研究に応募したことを私が知ったのは3月21日、日本学術会議が主催した公開講演会、「医療関連死を考えるー解剖に基づく新たな死因究明制度」という講演会の中でです。
この講演会は、これまでブログで言及してきた、医療事故調査委員会設立のために行われていた検討会の公開版で、発表者はほとんどその検討会のメンバーです。ちなみに厚生労働省の医療安全推進室の室長も出席、発表されていましたが、室長は自分の発表を終えるとさっさと退席、その後の議論はまったく聞いていない、という講演会軽視の行動をとっていました。こういう機会に現場の意見をきこうという謙虚な姿勢に欠けるから、厚生労働省の医療行政は現場からかけ離れたものになっていってしまうわけなんですけど、ね。
さて話を戻しましょう。この発表の中で病理学会理事長の長村教授が、この公募研究に深山教授が応募したということを堂々とスライド発表していました。
いやあ、本当にびっくりしました。
東大の深山教授が公募研究に応募したということを、公開講演会で病理学会理事長が発表する。それはこの応募が病理学会の総意として行われた、ということとほぼ同義です。
私はすぐさま、エーアイに先進的な千葉大や筑波メディカルセンターの関係者に連絡を取って確かめたところ、班員への参加要請はきていない、ということでした。
このことから、私は、病理学会重鎮ふたりがこうした研究をエーアイに先進的な千葉大や筑波メディカルセンターの研究者抜きで行おうとしているのだ、と思ったのです。
2008.04.21
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