ツイッターを書いた人がこのブログをお読みになったら、宝島社編集部に、それがいつどこで、そして誰が行なった講義か、こっそりご一報してくださると面白いことになるでしょうね。
近況です。
1)『スリジエセンター1991』絶賛手直し中。五校。連載時から大きく生まれ変わったバブル三部作最終作をお楽しみに。講談社より10月刊行決定。すでにネット書店にも反映されています。
2)野性時代で『輝天炎上』の連載が再開されます。同時に単行本用の直しも開始しました。刊行は来年初頭の予定です。
3)9月2日、木更津市図書館で講演しました。タイトルは『医療と文学にできること』。図書館内の部屋は観客との距離も大変近く、ライブ感が強烈でした。いつもより緊張したのは、ついでに木更津市市政70周年記念行事と銘打たれていたからかもしれません。
4)9月上旬の某日、島田荘司先生の仕切りで『本格ミステリーワールド』の対談に参加させていただきました。精神科医師の麻生荘太郎先生、総合内科医の知念実希人先生の鼎談に島田先生が燃料を投下するという構図で、本格ミステリーの未来を探るというお題と、かなり脱線しつつも最後はきちんと終息するという、面白い対談になりました。
「本格ミステリーとは、論理的整合性のある物語である」という島田先生の原理的定義が、本格ミステリのクラスターでは支持されていない、というのを聞いて、医者で医学者の三人が一様に理解できなかったというのは大変興味深い点でした。
この対談は年末に刊行される『本格ミステリーワールド2013年』に収録予定です。ついでに、作家の計画というコラム欄への寄稿を依頼されました。
なんだか、どんどんミステリー作家になりつつある今日この頃なのでした。
5)私の作品の中で本格度が高いのは『アリアドネの弾丸』、『チーム・バチスタの栄光』の順です。でも実は今年刊行した『玉村警部補の災難』も短編集ながら、本格だと思っています。ですので年末のランキング候補では検討候補に入れてくださいね。ともすればなぜか私は、ミステリーのクラスターから無視される傾向が強いので、きちんと評価していただきたいものです。
読者からの評価はとても高いというのは実感しております。今、作家としての私を支えてくれているのは、そんな読者の方々の評価、そうした読者へ本を届けてくれる版元さんや書店さんへの感謝の気持ちなのです。
6)8月14日、BS11『宮崎美子のすずらん本屋堂』はお話が楽しく、あっと言う間に時間が過ぎてしまいました。
7)現在、新連載の準備中。実は私の前に書いている人の連載が延びに延びて、本当なら11月に開始するところ、来年2月以降になりそうな気配。でもこちらとしても延びてもらうのは大助かりなのでした。この連載については来年には明らかにできると思います。
8)10月7日、周防正行監督と公開対談をします。映画「終の信託」の公開試写会の後のトークショーで、周防監督は前半は阿川佐和子さんと「愛」について語り、後半で私と「命」について語るらしい。最近映画自体をほとんど見ないのですが、医学生の頃はよく見ていて『ファンシイダンス』とか『シコふんじゃった。』はとても好きな作品だったので、今から楽しみです。
9)ようやく情報解禁になったのでご報告を。『極北ラプソディ』ドラマ化です。NHK総合で3月に、全2回で放映予定だそうです。主演は瑛太さん。脚本も拝見しましたが、大変ドラマチックなものになっています。放映までかなり時間がありますので、『極北クレイマー』と『極北ラプソディ』を一気読みしていただけるといいなあ、と。プロデューサーは『マドンナ・ヴェルデ』をドラマ化してくださった佐野さんですので、安心してお任せしております。
北海道ロケだそうなので、時間が取れたら見学に行きたいなあ、と。
10)講演会の秋。9月29日は宮崎日日新聞主催で宮崎。10月6日は佐賀大学医学部の学園祭。10月12日は佐世保で医療マネジメント学会の特別講演。というわけで秋の講演は九州シリーズでスタートします。現在、講演、取材、TV出演依頼の七割はお断りしているのですが、気がつくとこんな風になってしまいます。はてさて、どうしたものやら。
2012年9月16日 海堂尊