一方、関西です。関西には大阪大学、大阪市大、京都府立大、近畿大となんと4つの法医学教室に専用CTが導入されています。そのうちの一施設でAiが実施されたのですが、この施設がどうも診断をきちんと行わず、かつ、遺族にもAi情報を出していないということが明らかになりました。
Ai情報センターにふたつの相談事がありました。ひとつは某警察から、Aiを読影してほしい、という依頼でした。そしてセンターでは読影してもらえない、とこぼしていたとのこと。もうひとつは、遺族がAi情報を使いたいのでほしいと申し出たところ、拒否されたというのです。その遺族によれば、それは捜査になっていないのに、ということらしい。
私が長年危惧していたことが、ついに現実になりつつあります。法医主導で、Aiという用語を用いないで画像を行っている施設は、「診断レポートを作成せず、遺族や社会に死因の情報提供をしない」ということが現実に存在することが明らかになってしまいました。実名を挙げないのは、せめてもの情けです。関西方面の法医学主導のAi(彼らは頑としてPMCTとか死後CTとかしか言わない)は、無法状態になりつつある。ここに明確に指摘しておきます。ナニワモンスター、現実化しつつありますな。
さて、東西のAiセンターと銘打ちましたが、実は都会vs地方の違いなのです。都会の法医学者は、「学会の上層部に多く分布し、Aiという用語を嫌い、Aiに関しては放射線科医には最初からは相談せず、数が多いのでひとりあたりの解剖実施数は少ない」。地方の法医学者は「Aiという用語を用い、診断は放射線科医に頼み、数が少ないので解剖に忙殺されている」。法医学会上層部と古い体質の法医学者が現場で奮闘している法医学者を苦しめ、そしてひいては市民社会に質の低い死因情報を提供している。
今こそ法医学者は社会的引きこもりをやめ、前面で発言すべきです。その胎動はあちこちで感じます。これからおそらく、法医学会からAi をめぐる何らかのコメントが提出されるはずです。なぜなら、予算請求の前にそうした文章を社会に訴え、その記事を元に予算をゲットするというのが流れだからです。そこには遺族と社会に対して、死因情報をニュートラルで提供できるシステムを、きちんと提唱しているかどうか、がポイントです。
どれほど美文麗句を重ねても、法医学会の提唱される文言からは、情報の公開は捜査情報だからできない、と書くか、あるいはその点に触れないか、のいずれかにならざるを得ないでしょう。その時、法医がAi を実施した時には「市民のため」ではなく、「捜査という名の体制の維持」のために用いられるということが明らかになることでしょう。
そんな中、前回ブログでメンションした慶應大学法医学教室の藤田先生からメールが。私のブログに意見がおありとのことで、論理立てて説明されておりました。なのでそのメール掲載をもちかけたところ、誤字脱字などを直して再メールするとのお返事。こういう議論なら望むところ。法医学会も小さいながらも人材はいるのかも。こちらからも質問を投げておきました。
1 法医が情報を開示しないために問題が起こっている点についてはどう考えるか。
2 Aiの読影は専門家である放射線科医に任せるべきだと思うが、どうお考えか。
この追加の質問に対しても返答を御約束してくれました。返信メールがきたら、掲載させていただく予定です。残念ながら12月5日現在、音沙汰はありませんが、ご多忙なのでしょう。あ、ちなみに藤田教授は海堂ラボに出演を快諾されています。収録は1月末、オンエアは2月以降。
どうかお楽しみに。