海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2010.12.10 2010:12:10:20:25:30

東と西のAiセンターは、同じ法医学教室でも全然違う。

さて、告知です。

(1)『モルフェウスの領域』、やっと脱稿しました。何と6校。少なくとも100回は赤入れのため読み返し、もうぜいぜいです。12月15日、堂々発売。


(2)映画「ジーン・ワルツ」のスピンアウト作品、「空にいちばん近い幸せ」矢田亜希子さん主演のLISMO配信のドラマの試写を拝見しました。ほんのりとした小品で、私には書けない世界。そうした番組が美しく撮られるのだから、本当に世の中何が起こるかわからないものです。一見の価値はあると思います。十二月には関西方面での取材なども入る模様です。


(3)小説現代「医療小説特集」では短編「緑剥樹の下で」を書きました。これはアフリカの小国の物語です。一応、医療とは何か、を問いかけた作品らしい(編集者評)。ちなみにこれはチームバチスタ・エピソード0の話でもある。私の作品もさることながら、久坂部羊さん、仙川環さんという豪華執筆陣に並んで、須磨久善先生の名が。そう、心臓外科医・須磨先生のデビュー短編が載っている。あらびっくり。杉江松恋さんの「医療小説を読もう」と香山リカさんの「医療と小説」というブックガイドを読めば、日本の医療小説の系譜がすっぽりわかるという優れ物。そうか、医療小説の草分けは泉鏡花の「外科室」なのか、なるほどなあ、と未読の本のリストを前にうんうん唸っている毎日です。
医療小説、非常に奥が深く、豊潤な世界であることがわかってきました。夜明けは近い。


(4)宝島社初の文芸誌『ストーリーズ』に掲載してもらったの短編、「真説・リョーマ伝縁起」を読めば、今年の風俗総決算、といったところでしょうか。すっからかんだったリザーバーはまだ溜まっていないけれど、超低空飛行で少しずつデューティをこなしている毎日です。


(5)今年は『このミステリーがすごい!』の短編はナシ。石の上にも三年という、自分で決めた義務を終えて、少しほっとした気分。あれって結構風当たりが強いもので。後輩のみなさん、がんばってくださいね。
 みなさま、ではよいお年を。


そういえば、2011年本格ミステリ_ベスト10で、『アリアドネの弾丸』が17位にランクインしました。ミステリー界から無視されているのでは?と思っていたので、正直、びっくりしました。世の中には、ミステリー界から高く評価してもらいながら、ミステリーを書いているつもりはない、などと言う人もいますが、私の場合は、ミステリーだと思って書いてもいつも評価されない、という片思いで、そろそろ諦めようかと思っていた矢先だったので、嬉しかったです。でも、『このミス』は対象外で仲間はずれ、あんただけははお祭りに参加しちゃダメよ、とママに言われ、そのママは他所の子ばかりちやほやしているみたいに見えて、何だか切ないですね。


2010.12.06. 海堂尊

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