海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2009.03.02 2009:03:02:17:36:03

『 Aiセンター構想 』vs.法医学会提唱『 死因究明医療センター構想 』

 はじめに。先日『ジェネラル・ルージュの凱旋』初号試写ならびに公開試写会舞台挨拶をしてまいりました。舞台挨拶前のイベントでは、救急車三台に分乗し、イベント広場に到着しましたが、車内では堺雅人さんと高嶋政信さんとご一緒でした。でも、かつて救急転送で救急車に同乗した時のことを思い出し、あんまり楽しくありませんでした(笑)。おまけに隣の救急車は、中村監督と羽田美智子さんと貫地谷しほりさんなのに。いえ、堺さんと高嶋さんに文句があるわけじゃありませんよ、もちろん。そんなこと言ったらお二人の女性ファンに絞め殺されてしまいます。でも、やっぱり男としては、ねえ......(笑)。
 試写は大好評でした。中身も見ないで凄い映画だ、と吹聴していた私は、こうして無事、詐欺師改め偉大なる予言者となったのでした。
 救急現場のナマの声が詰め込まれている、それなのに、一大スペクタクル・エンターテインメントとして楽しめる作品です。騙されたと思って、是非見て下さい。バチスタの時は、やはり素晴らしい作品だったのですが、ひとつ次元が高い、難しい部分のある作品だったので事前にいろいろ述べましたが、今回は私の補助線は必要ありません。
 ただ、映画を見終わってからひとつだけ考えて欲しいことがあるのです。
「ジェネラルは日本の病院のあちこちにいる。彼らを見殺しにしていいんですか?」 これは市民社会への問いかけでもあるのです。
 映画では神の声も聞こえます。ネタばれにはならないと思います。現在の堺さんの初登場の台詞、「受けろ」。あれは神の声、です。観た人だけにはわかります。是非ご覧のほどを。

 3月7日、全国東宝系で公開です。

 さて、本題です。
 法医学会が、一部国会議員を動かして、国家経済資源配分の再構築を謀ろうとしています。いや、これは正確な言い方ではないでしょう。法医学会を先兵にして、法務省が厚生労働省の経済資源に切り込んできている、というのが、正確なところでしょう。
 ここで、法医学会が提言している「死因究明医療センター構想」と、私の提唱する「Aiセンター構想」を比較してみましょう。
「Aiセンター構想」
 ○ 検案 → Ai → 解剖
 Aiは医療現場で行い、費用は医療費外(厚生労働省管轄外)から拠出するシステムを作る。理由は、医療費は生きている人の治療費だから、死者には用いることができないので。Aiの情報を医療現場で検討し、解剖の適否を決める。

 一方、法医学会の提唱する「死因究明医療センター」は次のようになります。
 ○ 異状死→ 検視 → 死因究明医療センター(検案→解剖)

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