海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.05.11 2012:05:11:11:06:51

地獄と天国の4月が終わり、原発全停止の2012年5月5日

 名人戦観戦が終了した翌々日には八戸市民病院でドクターヘリ三周年記念の講演会へ。ちょうど研修医にダウンバーストを経験してもらうためにドクターヘリが稼働していたため、フライトに同乗させてもらいました。ヘリは何と映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」の撮影の時に使用された機体だそうで、思わぬ再会にびっくりしました。青森県は地勢の関係で二台のドクターヘリが必要だと説かれた八戸市民病院の今先生のご尽力で、二台目のドクターヘリが導入されます。こうしたことは行政の理解、病院長の理解があって初めて成立することです。逆に言えば行政の理解、病院長の理解、そして現場の熱意さえあれば、そうしたことも可能になるわけです。
 

 ドクターヘリ導入はAi導入に似ています。どちらも、市民はあればいいと無条件に支持する。行政や病院上層部が時として経済的理由で導入をしぶる。そして熱意ある有志が動けば導入できる。


 やれないのではなく、やりたくないからいろいろ屁理屈を言っているだけです。八戸はそうした意味で先駆け的存在になることでしょう。
 

 

 というわけで八戸市民病院の講演会を終え、久々に完全ダウンしてしまいました。丸二日、まったく何もできない状態になってしまいました。
 

 でも時は待ってくれません。息をつく間もなく今度は北海道は旭川で三浦綾子先生の生誕九十周年記念講演会です。『丘の上の邂逅』というエッセー集が刊行されたのですが、久しぶりに読み返した『氷点』『続氷点』『塩狩峠』の感動をお話させていただきました。三浦綾子先生の『塩狩峠』は小学生六年の時に生まれて初めて小遣いで買った文庫本なので印象が強いのです。三浦綾子文学記念館の見学でしみじみ、三浦綾子先生は私の対極にいるような作家だなあと感じ入りました。でもたぶん、生きるって素晴らしいんだぜい、という気持ちだけは共通しているかと。
 

 あ、三浦先生はこんな下品な言い方は絶対にしませんが。
 

 氷点は七百万部、三浦作品は四千万部というのだから、桁外れです。
 

 

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