海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2012.01.10 2012:01:10:12:10:16

引きこもり続ける法医学会

 2012年になりました。私はもともと年賀状撲滅運動というのをやっているので、正月だからおめでたいと思うことはありません。現に三が日は朝から晩まで執筆。おかげで今年は、あっと驚く作品をお届けできることになりました。

 どうぞお楽しみに。

 

 

 今年2月、日本医師会、Ai学会が厚生労働省の予算を得て、Ai研修会が実施されます。今回、日本放射線学会、日本病理学会、日本救命救急学会の共催となっています。こうした幅広い支援が得られるのも、医師会の誠意ある対応のおかげだと思っております。

 

 しかし2012年1月4日現在、残念ながらまだ法医学会の共催の承諾が得られていません。もちろん日本医師会からは正式に、他の学会と同様の働きかけがされているのですが、返答がないとのこと。

 

 一方、法医学会上層部が警察庁に働きかけて新しい死因究明制度策定に向けて動いているという情報はあちこちからはいってきています。そして、その中にはAiについての項目も含まれているというのです。

 

 Aiは画像診断ですが、画像診断の専門家である放射線科医でさえ、きちんと研修しないと読影が難しい、新しい診断領域です。Aiが発生する現場は、大きくふたつ、医療現場と捜査現場で、医療現場で主にAiに関与する人たちが前述の学会関連の人たち、すなわち日本医師会、Ai学会、日本放射線学会、日本病理学会、日本救命救急学会の人たちです。つまり誠実にAiを診断しようとしたら、最低限でもこうした研修会にきちんと参加しないと対応できない、と誠実な専門家の医師たちは考えている、というわけです。

 

 もうひとつ、Aiが発生する領域には捜査領域があり、そこを担当は法医学会です。しかしその法医学会が、学会として正式にAiの研修会に参加を表明しようとしない。これはどういうことでしょうか。

 

 

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