厚労省の公募研究、深山班の主任研究官、深山氏は『ゴーゴーAi』と『ほんとうの診断学』という二冊の書籍で税金を使った科学研究でバイアスを掛けた解析をし、間違った印象を社会に流布したと指摘しても、学者生命に関わる批判には沈黙しています。そして深山班の結果は学会誌の論文になっていません。つまり学術的に評価に値しない研究だったのです。
私の批判は「研究実績のない、画像診断の門外漢である東大教授が、厚労省の公募研究の主任研究官になるのはおかしい」ということで、深山班の研究報告書が科学的に評価に値しないものになっていたことで、私の批判が正当だったと証明されたわけです。
理研の論文捏造問題や降圧剤での製剤会社との不適切な癒着が明るみになっていますが、日本のアカデミズムは芯から腐っていて、腐臭の元凶は東大と霞ヶ関にあると感じていて、その後の情報ではその考えは補強されるばかり。08年に深山班の問題を指摘したあの時にメスが入っていれば学術世界も少しは風通しがよくなっていたのに、と思うと残念です。
今、病理学会の学術的活性度はとても低迷しているように感じますが、その大きな原因はトップのモラル低下にある気がします。
深山班が「解剖ほど役に立たない」と結論づけたAiは12年6月に法律に組み込まれ今回、医師会が小児死亡例でのAi実施のモデル事業を開始するなど着実に歩を進め、今や解剖を凌駕する勢いです。病理解剖は年々減少を続け、年間一万体以下になってしまうのも時間の問題です。
現在、監察医モノの連続ドラマが二本、オンエアされていますが、先日知人が「主人公の監察医がAiって言ってましたよ」と教えてくれました。法医学会ではAiではなく死後画像と言い続けてきたので、すごい変化です。法医学者が言う「死後画像」は診断なしの画像撮影で質が低いという実像が明らかになり、死因究明関連二法案に正式用語として「死亡時画像診断」と記載されたので、メディアもAiという用語を使うようになったようです。Aiという単語を感情的に忌避し続けている四部署、警察庁の一部、法医学会上層部、病理学会上層部、モデル事業関係者が今の態度を続ければ、市民から冷ややかな視線を向けられてしまうでしょう。
監察医モノのドラマは苦戦しているようです。視聴していないので番組内容の批判はしませんが、そもそも「監察医≒法医学者」が正義の味方であるかのような設定が非現実的なのです。法医学者は市民の味方ではなく捜査協力者にすぎません。法医学者が捜査現場の失態を告発した事案は皆無ですし、市民への情報開示にも消極的。東京都監察医務院はパロマ湯沸かし器事件で亡くなった方の遺族に死因を問われた際、「死因をお伝えする義務はない」と言ったというのですからひどいものです。法医学者たちが議連を動かし成立させた死因究明関連二法案には、遺族と社会に対する情報開示について言及がありませんでした。情報開示を付帯決議で担保させたのは日本医師会の要望書です。市民のために仕事をせず、自分たちにお金を引っ張ることに夢中な法医学者が、主人公として光輝くはずがない。逆に言えばこれまでのドラマは現実と真逆のヒーロー像を市民に刷り込むことに成功していただけで、その結果司法鑑定のミスから冤罪を発生させるシステムの放置につながり、市民社会に害を成してしまったのです。