とまあ少し反論しましたが、こうした法医学者の「挑発」は彼らの行き詰まり感を示していて、そうなったのは彼らが議論をせず、閉鎖的で独善的で周囲と協調できないため干上がりつつあるのです。私はAiを守るため彼らと渡りあってきましたが、今やAiは日本医師会という、道理のわかるパトロンを得ました。まだ安泰とは言えませんが、私が身体を張ってAiを防衛する時代は終わったのです。逆に、私の言説程度でAiの導入が五年も遅れたと言うようなら、それは単に法医学会の狭量さを示しているだけです。こうしたブログも今の瞬間は実名を指摘する必要性があるのですが、三年も立てばもうどうでもいいことになるんだろうなと、書籍化で匿名にした気持ちを再確認して、未来の自分の感情を前もって予測することもできるようになったのでした。
私もおとなになったものです。
というわけで、このブログもあと二回で終えようと思います。エンディングは10月予定。現在、ちょっとビッグで面白い企画が進行中ですが、それをこのブログで公表できるといいなあ、と思います。
本屋大賞を批判したときは無視されましたが、その時に思ったのは「この集団にはヘッドがない」ということでした。みんながもそもそ寄り合っているだけだから問題提起に対応できないのです。これはヘッドレス組織というもので、本屋大賞だけではなく、病理学会だって同じ。ヘッドレス組織の見分け方は簡単で、クレームに対処できず黙殺し、内部ではクレームをつけた人間への悪口を垂れ流し、自分たちの正当性を内部だけで担保しようとする集団です。
トップの性格が集団の色を決めますが、逆に組織の性質がトップの性格を規定するとも言えます。だからトップを見れば組織の質がわかる。その意味で病理学会は今、学術集団としては最低レベルにあるのが悲しい。本屋大賞もヘッドレス組織です。厚労省や警察庁はトップはころころ変わるものの「先輩の施策は否定しない」という強烈な不文律が明確な方向性を与えているので、ヘッドレス組織というよりもハードヘッド組織と呼ぶべきでしょう。
ヘッドがしっかりいてもその見識や発言が珍妙であればヘッドレス組織よりも酷いことになってしまう。法医学会の今後は試金石というか、サンプルというか、そんな感じで生温く見守っていくかも。でも、もう興味はなくなりつつあります。だって全然変わらないんだもん、あの人たち。ただブログを閉じるにあたり、仇敵である法医学者にひと言も挨拶なしというのも気が引けるなあと思っていたので、タイミングぴったりの燃料投下でした。
近況です。
1)週刊新潮『スカラムーシュ・ムーン』、好評連載中。秋に終了予定。
2)8月22日は、日本医師会にて「第二回学生・日本医師会役員交流会」で講演します。その後懇親会もあります。
3)8月23日は岡山市民大学で講演をします。タイトルは「医療と文学の接点」です。後援会後は久々のサイン会も予定。『アクアマリンの神殿』のサイン本は希少ですので是非お越しくださいませ。
4)9月14日は第55回日本母性衛生学会in幕張メッセ、講演タイトルは「ジーン・ワルツの世界」。
5)10月3日、札幌で「氷点50周年」というシンポジウムで基調講演をします。タイトルは「氷点と半世紀後の日本」です。文化人みたいですね。
6)10月7日、母校・千葉大西千葉地区の図書館が新装オープンするのに伴い、千葉大学生協でトークイベントとサイン会。
7)11月3日は宮崎大学第10回清花祭医学部特別講演会で講演予定。タイトルは「医療と文学 二つの天職」です。「二つの転職」という方が正確かも。
8)11月19日はJT講演会は愛媛・道後温泉。実は愛媛は私がこれまで訪れたことがない、唯一の県だったので、これでコンプリートです。
9)12月5日は放射線医学総合研究所重粒子医科学センターの20周年記念シンポジウムで司会の大役をおおせつかりました。
ぐうたらしようと思いつつも、結構働いているものですね。
2014年8月19日 海堂尊