海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2013.12.19 2013:12:19:20:19:50

沈黙していた三ヶ月間は大忙し

 前回、海堂ニュースをアップしたのが九月中旬。その後三ヶ月が経ち、ようやく久々の更新をすることになりました。といっても、この三ヶ月、決して遊んでいたわけではなく、むしろ仕事に追われていたというのが現実です。

 

 医療小説特集に寄稿した短編集『ガンコロリン』を上梓し、ボストンに取材に行き、その一週間の滞在中に田口・白鳥シリーズのボーナストラック「カレイドスコープの箱庭」の初稿を書き上げ、関西テレビが制作してくれるバチスタシリーズのドラマの最終シリーズ、「螺鈿迷宮」とそれに続く東宝映画「ケルベロスの肖像」の撮影見学に行き、戦車を見て乗って、来年1月、2月、3月と三月連続刊行予定の文庫『ケルベロスの肖像』、『輝天炎上』『ナニワ・モンスター』の文庫の手直しを4〜5校行い、ある一日などは、三つの白ゲラが同時に到着するという、惑星直列みたいな事態を経験しました。そんな中、角川書店の文芸誌、野性時代の十周年記念の文庫に短編「ボツテン」を寄稿した翌月、つまり年明け発売の同じく野性時代の医療小説特集号に「司法解剖・所得倍増計画」という短編を寄稿し、バチスタシリーズ最終作を記念して伊藤淳史さん、仲村トオルさんとの鼎談をグラビア展開してもらうことにして、合間に全国を転戦する講演会を6つ、最後は沖縄でJTさんの講演会をして、谷村志穂先生、というか姉御と沖縄で飲んだくれ、「週刊新潮」で連載中の『スカラムーシュ・ムーン』の原稿を半年先まで上げる、などということをしていたら、あっという間に三ヶ月が過ぎてしまった、という感じです。

 

 ね、ニュースをアップできなくても仕方がない、という感じでしょう?

 

 ほんとうはのんびりしようと思っていたんですけど。おかしいなあ。

 

 執筆しなくても楽しい生活が送れるということに気がついて、完全にぐうたらモードになろうと思ったのですが、関西テレビさんが頑張ってドラマと映画の連動をしてくれるという、とてもありがたい企画を通してくださり、関連した領域の小説を文庫化しよう、などと考えたのが運の尽き。本当に地獄みたいな日々でした。

 

 文庫は一回出版した本なんだからそのまま刊行すればいいじゃん、それが出版した作家の義務でしょ、みたいに考える人ならラクチンなんでしょうけど、文庫というサイズに適切な字面というものがあると私は考えているので、どうしてもかなりの手直しをしてしまうのです。だからといって単行本が稚拙で手抜きしているつもりはありません。もう、これ以上手直しできない、というところまでやってから、出しています。だからこれは、文庫が完成型なのではなく、たとえて言えば、単行本はとんこつラーメンのこってり味、文庫はあっさり味、という風に理解してもらえばありがたいです。

 

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