海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.12.19 2013:12:19:20:19:50

沈黙していた三ヶ月間は大忙し

  2)3月、『カレイドスコープの箱庭』という単行本を出します。バチスタシリーズの、ほんとの最終刊。久々の長編です。今度の舞台は病理検査室。おお、私のかつてのホームグラウンドではないですか。編集の方たちの感想は、「バチスタを思わせる原点回帰のミステリー」だそうで。作者としては、これは久々の、いわゆる「本格ミステリー」かと。

 

 映画化に連動した作品でもあるので、『ジェネラル・ルージュの伝説』同様、データブックの付録つき。実はこの時期にこのデータをまとめていただくことが、作家としても必須で、大変ありがたいことかと。あ、でもスペースの関係で、今回は海堂ダイアリーという告白タイムはなし。残念と思うであろう少数の人と、ほっとしているたくさんの人の顔が目に浮かびます。

 

3)「野性時代」12月号リニューアル号で、付録文庫に「10にまつわる物語」に短編、「ボツテン」を寄稿しました。有栖川有栖さん、桐野夏生さん、東野圭吾さん、湊かなえさん、森絵都さん、森見登美彦さん、森村誠一さん、という錚々たるメンバーの中にひとりぽつんと無冠の帝王が......(笑)。ちなみに参加作家は八名ですが、10にまつわる物語なのだから、10人に依頼したのではないかなどと穿った見方をしています。落とした二人は誰でせう。あるいは単なる邪推なのか。

 

4)上記にもあるように文庫の三連打。

 

 1月『ケルベロスの肖像』、2月『輝天炎上』、3月『ナニワ・モンスター』。前の二作は、華やかな俳優、女優の方たちが派手な帯に並びます。解説は、『輝天炎上』は千街晶之さん、『ナニワ・モンスター』は津田大介さんにお願いしました。『ケルベロスの肖像』に解説はなく、JTと「ダ・ヴィンチ」の連動企画であるA面B面の短編を掲載します。お楽しみに。

 

5)週刊新潮『スカラムーシュ・ムーン』、好評連載中。半年先の分まで渡してありますが、ようやくゴールが見えてきた模様。でも最後の大山が残っています。

 

6)PHP「Voice」誌で連載していた「海堂ラボ」、無事最終回を迎えました。最終回は私がAiについて語っています。そして2月、『海堂ラボ3』、無事刊行予定です。あ、この仕事がまだ残っていて、これは越年です。ゲラが出るのが年末なんだもん。

 

Voice」さんには感謝の気持ちでいっぱいです。よくぞ最後まで。ありがとうございました。

 

7)将棋関連で10月に羽生善治三冠と対談させていただいたインタビュー集が出ました。タイトルは『共鳴する頭脳』です。そういえば、羽生さんは王位戦を防衛し、その就位式に伺ってご挨拶もしてまいりました。

 

8)そういえば9月〜11月の秋の講演会シリーズもつつがなく終了しました。9月21日、新潟大学市民講座第28回有壬セミナーで『医療を守る、社会を守る』というタイトルで、10月5日は東北大学医学祭での講演会『医療と文学と市民社会』、11日は有楽町朝日ホールで保険医学会特別講演『Aiは死因究明制度の土台になる』、12日は九州大学医学部保健学科十周年記念招待講演で『Aiは市民社会の礎になる』、18日は第78回泌尿器科東部総会(新潟)で『小説世界と現実社会におけるAi』。この四つのためにAiに関するスライドを200枚近く作りましたが、利用したのはトータルでたった20枚ほど。一割しか使いませんでした。なんというコストパフォーマンスの悪さ。でもいいんです。Ai関連の総決算のつもりでしたから。

 

 10月26日の岐阜医療短大での講演は短大の学生さん主体でしたので肩の力を抜いてやれました。そして11月末にJT主催の講演会が沖縄の那覇で。先輩作家の谷村志穂さんと楽しく飲んだくれることが、あ、もとい、楽しい講演ができました。

 

 というわけで今年もあちこち全国を旅していた海堂なのでした。

 

9)BSジャパンで、「大竹まことの金曜オトナイト」に出演しました。放送が終わってからの告知ではあまり意味はないとも思いますが、とても楽しい出演だったので、記念的に書いておこうかと。

 

10)小さなエッセーがいくつか。年末恒例の宝島社『このミステリーがすごい! 2014年版』には隠し玉のエッセーと「カレイドスコープの箱庭」の冒頭部分の抄録が載っています。『本格ミステリーワールド2014』の「作家の計画・作家の想い」に、より詳しい予定が書いてあります。

 

 新潮社の「波」に掲載していた「スチャラカ三都物語」も無事終了しました。

 また、年明けの元旦に、北海道新聞の特別冊子、「氷点五十周年」の巻頭エッセーを寄稿しています。三浦綾子さんの「氷点」にまつわる小冊子だそうです。

 

11)出版されてしまいましたが、「週刊朝日」で津田大介さんとの対談、「地域医療が疲弊する理由」も掲載されています。エッセーではありませんが、「週刊新潮」でのファンケルの企画記事にも出演しました。青汁、美味しいですよね。

 

12)来年から、「医療小説大賞」の選考委員を務めることになりました。私は創設に関わっていたので、もともと候補になることは辞退していたのですが、昨年、素晴らしい作品が目白押しだったのに受賞作なし、という結果に大変な危機感を覚えて選考委員を受諾することにしました。思いも寄らなかった、文学賞への関与です。

 

 これでだいたい、一通りの経験をすることになります。あとのやり残しは園遊会に招かれ、Aiの社会導入について天皇陛下に直訴するくらいでしょうか。

 

                          2013年12月16日   海堂尊

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