海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2013.12.19 2013:12:19:20:19:50

沈黙していた三ヶ月間は大忙し

 ちなみにこうした前代未聞の激務も、師走半ばにしてほぼ完了しました。というわけで、久々の海堂ニュースになったわけです。白鳥は、優雅に水面を泳いでいるようでいて、実は水面の下では......、などと私が書くと、シリーズのメインスタッフ、白鳥圭輔のことか、などと誤解されてしまいかねないので、ここまでにしておきましょう。

 

 

 そんな中、Ai学会理事会に出席してきました。残念なことに、Ai学会は現在、アクティヴィティが低下しています。それは理事会だけが仲間内でなかよしこよしで、学会全体で共有すべき情報を会員に流していないように見えるのが原因です。情報発信しなければ活性化しない、という当たり前の原則を、学会上層部の人たちが体得していないのです。

 

 かつて自分が創設に関わった学会に対し、古くさい病理学会や法医学会と同じように、学会上層部なる言葉を使うような時代がくるとは夢にも思いませんでした。「Ai学会上層部」の方たちの猛省を促したいと思います。そんな中、日本医師会が主催する「Aiシンポジウム」が12月21日に開催されます。そして厚生労働省はのらりくらりと、「小児全例に対するAiの実施費用」をつけることを先延ばしにしようとたくらんでいます。

 

 世の流れを見ると、安倍政権がやりたい放題しているように見えますが実は違います。やりたい放題は官僚で、阿部首相はパペットマペットなだけ。その証拠に民主党時代に提出された「特定秘密保護法案」が、世の中の声に反して数の力で強引に通されてしまいました。この法案に関しては多くの識者が心配しているような弾圧に使われるようになるというのは、かなり先の話であり、本当の問題はそのはるか前に生じるであろう、官僚がやりたい放題にするための情報隠蔽法案です。霞が関の官僚たちは、消費税増税と特定秘密保護法案はペアで何としても通したかったわけです。民主党から自民党に政権交代してもその部分はまったくブレていません。こうしたことから考えれば、社会の益になることがほぼ百パーセント誰もが納得しているAi導入が遅々として進まないのも、結局は官僚がやりたくないからだ、という説明が、納得できると思います。これからどんどん日本社会の質は劣化していくでしょう。

 

 まあ、人のことは非難できません。さっき挙げたAi学会上層部も、すっかり官僚組織みたいに事なかれ主義に堕してしまったのですから。これはひょっとしたら人間の本性のようなもので、こうなったらいっそきっぱり、進歩を目指すなんてやめてしまえばいいのかもしれません。どうやら日本社会の基盤の基本が、「世のため人のため」ということを軽視するものになったというのを、霞が関とか、学会上層部の人たちの動きを見ていると感じます。

 

 でもね、官僚の人たちも市民の顔を持っているわけで、そうなるとその官僚の人たちがやっていることは国力を弱体化させることで、それは自分たちの地盤を脆弱にしていることなんだ、ということには気付かないようなのです。なんだか、今の政治と行政の動きを見ていると、「軽蔑」という言葉が浮かんできてしまいます。

 

 

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