海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.04.28 2011:04:28:18:15:58

モデル事業、ついに終息へ。

  以下、正確を期すため、日経メディカルウェブニュース、CBニュースより引用します。

 

 422日、日本医療安全調査機構(代表理事:高久史麿自治医大学長)の理事会は同機構の運営委員会に対して、現行の「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の事例受け付けを中止する旨の2011年度事業案を提示した。また、(1)新しいモデル事業を東京・北海道の2地域で今年度に10例程度試行する、(2)事例受け付けを中止した地域の代表など14人を減らして運営委員数を19人とすることなども案として盛り込んだ。そもそも、このモデル事業は、2005年度から日本内科学会が中心となって行ってきたものを同機構が引き継いだ。2008年に厚生労働省から医療安全調査委員会設置法案の大綱案が出されたまま、民主党への政権交代を経て議論が中断し、モデル事業の予算も削られた経緯がある。さらに、現在のモデル事業については、2012年 度以降の存続が不透明なことに加え、東日本大震災に伴って厚労省からの補助金1.1億円の執行が不確実になったとの見方も浮上した。事例は、受け付けてから報告書がまとまるまで10カ月程度が必要。そのため、すぐに受け付けを中止しなければ2011年度中に終わらせることができず、財政的な裏付けに不安がある2012年度も事業を継続せざるを得なくなる。一方、日本内科学会や日本外科学会には既に機構運営に関する金銭的な負担が発生しており、機構の理事であると同時に内科学会や外科学会の理事長も務める寺本民生氏(帝京大内科主任教授)や里見進氏(東北大外科教授)が、両学会の負担をさらに増やすのは不可能と判断したという。これに対し、地域でモデル事業を支えてきた各大学の法医学の教授や弁護士などで構成される運営委員会の委員たちは激怒。日本病理学会担当理事で藤田保健衛生大病理診断科教授の黒田誠氏が「現場で汗をかいてきた人たちの意見はどこにも入っていない。世界に『日本は医療安全に対して何もしない』と言っているようなもの」と憤れば、日本法医学会担当理事で新潟大法医学教授の山内春夫氏も「モデル事業がなければ、司法解剖で受けざるを得なくなる。それは現場への警察の介入を許すことだ。また、次につながる体制を残してもらえないと、再度導入しようとしても『あのときに失敗したものをなぜやるのか』と否定され、新しい体制を築きにくくなる」と訴えるなど、批判が相次いだ。懸念の財政面については、国の補助金から財源的に独立するべきという意見が出た。「日本内科学会、日本外科学会に負担させようというのではない。2004 年に『中立的専門機関を作ろう』と声を上げた19学会で負担すればいい」(三井記念病院院長の高本眞一氏)、「病理解剖を行う際は、依頼する病院が20万円程度負担している。また、現在専任で置いている、調査依頼の受け付けから結果の説明までを行う調整看護師について、臓器移植コーディネーターとの兼務などの方法があるのでは」(山内氏)といった案が挙がった。運営委員会委員長で東大法学部教授の樋口範雄氏も、「これでは『医学会が第三者機関設立をあきらめた』ととられかねない。将来の第三者機関で中心的な役割を果たす地域の代表を相談もなしに外すのが妥当なのか。また、補助金の執行が不安視されているだけなのに今止める必要があるのか」と理事会の決定を疑問視した。運営委員会を中座した高久氏が理事会で再考することを約束したため、今回の提案を受けてすぐにモデル事業が中止になることはなさそうだ。ただし、予算の問題や、今後のモデル事業のあり方などについての解決策が見出されたわけではない。診療関連死モデル事業、ひいては診療関連死の扱い方について改めて議論すべき時期が来ているといえよう。

 

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