海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.02.03 2011:02:03:10:58:05

映画「ジーン・ワルツ」公開、そしてついに厚生労働省がAi に予算をつけた

中身はほぼ、Ai11年史。『ジェネラル・ルージュの伝説』で書いた、海堂尊物語が小説家部分とすれば、こちらは完全にAi提唱者としての歴史です。帯がすべてです。「バチスタとは異次元感覚の面白さ」これに尽きます。『バチスタ』を始めとするフィクションは、私は「面白ければ何でもアリ」と言うスタンスで書いているわけですが、この本は「現実って、こんなに面白い」ですからね。

 

現在、私の敵は、「解剖至上主義者」です。この定義は「Aiを行っても、解剖をしなくてはならない」という主張する人たちです。ちなみに私は「Ai優先主義」です。これは「Aiを行って死因がわかったり納得すればそこで終わり、わからなかったり納得できなかったら解剖を勧める」というものです。

 

違いは、「Ai単独使用」を許容するか否か。そして「Ai優先主義者」はAi単独使用を認めることから、Aiの主体は放射線科医と現場の臨床医に置くことになります。だって解剖しない場合があるわけですから、解剖医を主体にすることはナンセンスです。そうなると、Aiにきちんと費用をつけることが必須になってきます。でないと、医療崩壊が進んでしまいますから。

 

私が「Ai優先主義」を唱えているのは、その方が、社会の闇部分が確実に減少し、市民はより幸せになれるからです。そうしたパラダイムシフトに反対する人たちは結局、自分たちの既得権益を守ることが思考のベースにあるように思えてなりません。それは広い意味で、市民社会に対する背任行為ではないでしょうか。

 

この本のメインに、厚生労働省の深山研究班の研究結果に対する「科学的批判」を執筆しました。深山研究班の班員は、私の批判に公開の場で答える責務があります。なぜならこれは国民の血税を使って、厚生労働省から委託された研究だからです。そしてこの問題は、個人の名誉毀損などという矮小な問題とは次元が違います。私はこの研究班の報告書を熟読し、批判を行いました。ちなみにこのブログでも書きましたが、研究班に参加した班員や協力者の中には、報告書を読んでいない先生たちがかなりいました。

 

研究班の研究を素晴らしいものと評価するか、学術的に問題がある、と考えるかは、アカデミズムの根幹に関わる問題です。是非、一般の人たちも熟読してみてください。

 

ちなみに、この研究班は、2年前の公開講演会で当時の病理学会理事長が、演題の採択前に公募科学研究に応募したと公表しています。そして班員に当初、病理学会理事長と副理事長が名前を連ねています。つまり当時の病理学会を代表し、公益性が高く先進性のある「Ai」という分野の科学研究に名乗りを上げたわけです。だとしたらその研究が終了した今、病理学会員の前できちんと公表し病理学会員であり提唱者である私からの批判に対し討論に応じる義務があるでしょう。

 

4月末には、病理学会100周年の記念学術集会が開催され、記念誌などの刊行企画も進められているとかいないとか。私に原稿依頼はありませんでしたが(笑)。厚生労働省の科学研究班の結果を発表するには、そしてこうした批判に対し、正面から堂々と受けて立つには格好の舞台だと思うのですが、いかがでしょう。

 

第100回病理学会大会会長にそのような差配をする度量が果たしてありやなしや。

 

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