海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2010.06.29 2010:06:29:14:08:59

南アフリカ取材旅行と「死因究明に資するAiの活用に関する検討会」設置

 オブザーバーは、HPには掲載されていませんが、法務省刑事局、警察庁刑事局、文部科学省高等教育局、日本医療安全調査機構(モデル事業の受け皿財団ですね・笑)、そして放射線医学総合研究所重粒子医科学センターAi情報研究推進室です。そう、ついに晴れて私もオブザーバー参加が認められたのです。これも足立議員の英断と、私の主張を支持して下さった読者のみなさんのおかげです。
 これはまさしく足立議員の業績で、政治主導の政策決定の最たるものでしょう。日本の政治家は質が低いと言われますが、そんなことはないと思います。旧自民党政権の時にも橋本岳前衆議院議員や、保岡興治前衆議院議員など有志の政治家はいました。けれどもそういう有能な方々がことごとく落選してしまったのが現在の自民党です。民主党も一歩間違えばそうなりかねません。

 メディアは読売新聞、共同通信など、この検討会が立ち上がる直前に誤報ともいえる報道をしています。この検討会はモデル事業とは関係なく立ち上げられたものです。それなのに、モデル事業での研究班のデータをベースに検討する、などという報道がなされています。明らかに取材不足により不正確な報道がされていますので、メディアの人たちの精進を期待します。でも官僚や学会の偉い人のいうことを、裏付けも取らずに垂れ流すという体質は、おいそれとは変わらないでしょうから日本のジャーナリズムは絶望的な状況です。

 モデル事業は、診療関連死に関わる死因究明です。きわめて特殊な事案で、一説では、日本では年間2万7千人の診療関連死があるといわれています。ですがこれは日本の死者の2パーセントにもみたない部分です。この検討会には、そうした限定の冠はありません。『死因究明に資する死亡時画像診断の活用』ですから、診療関連死などという限定された話ではありません。だから、こちらが土台であってそこに従って、モデル事業も展開していくことになります。
 つまり、こちらが主、モデル事業は従、なのです。
 モデル事業はご存じのとおり、ずっと「解剖を主体に行う」という基本方針でした。5年かけて7億円の税金をつかい、たった100例程度の解析しかできませんでした。理由は解剖を主体にしたからです。そしてモデル事業の基本4学会は内科学会、外科学会、病理学会、法医学会と、画像診断を行う放射線学会は含まれていないことからもわかるとおり、モデル事業はAiに関しては5年間無視し続けてきたのです。
 今回の検討会は、「死因究明に資する」ですから、2パーセントにみたないモデル事業の解析データが基本になるなどありえない。しかもその解析は門外漢の病理医がやっているわけです。こんなことは、少し考えればすぐにわかることです。大メディアの人たちの取材力の低下はひどいもので、官僚の言うことをそのまま垂れ流してしまうという性癖はなかなか直りそうにありません。

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