海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2010.05.26 2010:05:26:18:23:56

怒濤の一週間。ぜいぜい。

  先週火曜日、第23回山本周五郎賞の候補にしていただき、選考結果を各出版社さんと待つ"待ち会"を開きました。候補作は『マドンナ・ヴェルデ』でしたが残念ながら受賞ならず。2年前『ブラックペアン1988』で候補にしていただいて以来、2年ぶりです。文学賞候補にしていただくのが取りあえず現在の目標ですので嬉しかったです。ここのところの文学賞の流れを見ていると特定候補に集中しがちな傾向が見られますので、結果は予想通りでした。作品を読まなくても誰が受賞しそうかわかるんですから、文壇の構造ってシンプルだなあ、と思います。
 私の作品の弱点はシリーズ展開している点にあるらしいのですが、一作だけでも独立して読めるように書いているので、そうした批判はお門違いだと思っています。まあこれもスタイルなので仕方ないですね。
 2年前の待ち会では結果が出る前に空気が凍ったりして辛かったので、今年は立食パーティ・プラス・打ち合わせ形式で行いました。私がせっせと打ち合わせに励んでいる中、編集者のみなさんはてんでばらばらに社交されていて、30名ほどが集まって下さった、気楽で楽しい会となりました。当面で一番火急の打ち合わせが必要な担当者にドタキャンされたり、担当が変わって初めて顔合わせをさせていただいたり、締め切りの確認をしたり、企画提案をしたり、なんてことをしていたら待ち時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまいました。新潮社Nさんの、結果を知らせる携帯電話が鳴っても、会場では誰も反応しなかったくらいですから、私の思い通りの会となりました。
 ちょっと前に編集長のGさんに「合同待ち会をすれば面白いのに」と提案したのですが、残念ながら実現しませんでした。Gさんはちょっと考えて「それってリスク、高すぎますよね」という実にシンプルな回答で却下されたわけですが。で、それもきわめて妥当な判断かと(笑)。でも合同待ち会にすれば、普段会わないような人とも会える可能性がありますし、当落が決まった時には人間ドラマが出現しますから、結構注目が集まるのではないでしょうか。授賞式なんてセレモニーにすぎません。合同待ち会は悲喜こもごも人間ドラマが展開します。そこにテレビカメラが入り、入場料を取って一般見学客も入れる。これこそが停滞する文学の活性化につながるのではないでしょうか(笑)。どこかがやらないかなあ。合同待ち会に参加することが候補になる条件、とか。そこへ選考結果を伝えに選考委員が自ら来る。実は合同待ち会の隣で選考会を開いたりして。でもって議論がかすかに漏れ聞こえたり。それで結果発表は、ひとりひとりの選考委員が直接話す。それに対し、納得がいかない候補者と直接対決する、とか(笑)。

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