海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2010.06.29 2010:06:29:14:08:59

南アフリカ取材旅行と「死因究明に資するAiの活用に関する検討会」設置

 さて、近況です。
1)『ジェネラル・ルージュの伝説』文庫版、好評発売中です。おかげさまで重版もかかり、ドラマ「ジェネラル・ルージュの凱旋」も好評のうちに終了したようです。でも、肝心の山場の2回がアフリカに行っている最中で見られず、また、打ち上げも終わってしまったようで残念です(涙)。
2)『ジーン・ワルツ』文庫は7月1日発売予定です。表紙がお洒落で映画の主人公、菅野美穂さんの写真を使った帯も巻かれています。「新潮文庫の100冊」に入れてもらえました。これで私もようやくパンダ軍団の一員でしょうか。解説は医療小説の書評家の第一人者、東えりかさん。解説も素晴らしいです。
3)『ブレイズメス1990』は7月中旬発売です。結構ぎりぎりまで修正で真っ赤にしてしまいました。でも、仕上がりは大分クールになったような気がします。校了時はアフリカでしたので、最終チェックは担当編集Tさんにお任せしました。何かあったら責任者はTさん、ということで(笑)。
4)『ひかりの剣』文庫が8月に刊行されます。直しは3校、奇蹟的に、これまでの最小で済みました。我ながら信じられない。表紙のイラストを、剣道部時代のバイブル『六三四の剣』の村上もとか先生にお願いしました。昨年末に対談させていただいた折り、お願いできたら嬉しいなあと思いながらも口に出せずにいたので、とても嬉しいです。ちなみに解説は元警察庁長官でNPO法人ヘムネットの國松孝次理事長。実は氏は剣道部の副主将で、全日本剣道連盟の顧問でもありますので、なかなかの適材適所かと。お忙しい中、シャープな文章で書いて下さり感謝しております。巻末解説だけでも一読の価値あり。なんか、そんなのばっかり(笑)。
5)『アリアドネの弾丸』順調に進行中です。内容は、『バチスタ』+『イノセント・ゲリラ』。原点回帰のミステリーど真ん中で、ひょっとしたら本格ミステリと思ってもらえるかも。まあ、無理なんでしょうけど(笑)。どうやら9月で行けそうです。現在赤字格闘中。でも、これも今までとは違って奇跡的に修正の赤が少ない。今年になって、何かが変わったのでしょうか。
6)「サイエンスZERO」で再生医療について語りました。オンエア済み。ちょうど弘前からの帰途だったので、見てないんです。ぐっすん。
7)講演会多数。2週続けて横浜で。『日本臨床細胞学会』という、病理医や産婦人科医、技師さんが主体の参加者4千人の大きな学会で喋った後、書籍コーナーで1時間の臨時サイン会。「裁判にメゲないでください」というみなさんの励ましが胸に沁みました。いや、私はメゲるどころか、怒っているだけで。また翌週は『日本整形外科看護研究会』で500人の満員の看護師さんたちの前で講演。本当の満員の会場って生まれて初めて見ました。昔から看護師さんには頭の上がらない医者だったので、久々に大緊張。そのあとは、なんと東大病院で、国公立私立大学の放射線技師さんの研修会に招かれて講演。会場の隣が病理学教室だと聞かされて、思わず講演の声が大きくなったりして(笑)。でも、これで東大での講演は4度目なんですよね。意外に懐が深いのか、東大(笑)。放射線技師さんたちに、Aiを病理や法医といった解剖医が主体で行われた場合の危機について話し、かなり危機感を理解してもらえました。そして弘前市の歯科医師会で3時間の講演。前夜祭で飲み過ぎたのですが、温かい歓待のおかげで、何とか講演はコンプリートできました。弘前大学の法医の黒田教授も臨席されましたが、やはり、地方の法医学者として私の主張に大いに賛同して下さり、学会上層部の判断はおかしい、という点は共通認識を持つことができました。そう、一部法医学者が、Aiを僕たちがやります、と言うのは、東京と大阪周辺の、法医学者が余っているごく限られた一部のエリアの人たちだけなのです。しかし、「そこまでわかって下さっているのなら、思う存分やって下さい」とけしかけられても、ねえ(笑)。もうすでに充分、思う存分やっているかと思うんですが(笑)。
8)帰国後は千葉大医学部後援会の講演会。千葉大上層部はシャイで、なかなかAiセンターの意義を理解できず、アピールも下手ですが、千葉大の学生の父兄の方たちには、たっぷりとその意義を理解してもらえたようです。千葉大学の上層部の一部の先生方、あんまりにもAiに対する毛嫌いがひどいと、時代に乗り遅れるどころか、いずれその度量の狭さが世の中にあからさまになってしまいますからご用心を。これまでは私は母校千葉大が好きだったのですが、今のままの状態が続くようだと、嫌になってしまいそうです。そろそろ限界かな、という気持ちもします。見限る時は早いですよ、私(笑)。

 

2010.6.27 海堂尊

 

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