海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2009.09.18 2009:09:18:17:47:53

この報告症例は、「Aiは解剖と同等に有用」だったのでは?

 小説の方もぼちぼちやっています。小説新潮では「マドンナ・ヴェルデ」が佳境にさしかかり(ということは、私の場合はもうじき終わるということですが・笑)、また小説現代では「ブレイズメス1991」の連載を開始しました。他には10月締め切りの短編が3本ほど。ぜいぜい。
 他には10月に、東京創元社文庫で「夢見る黄金地球儀」が文庫化されます。大幅改稿し、シェイプアップしていますので、既読の方も楽しめるかと。また、私にとって初めての、上下巻ではない文庫本です(笑)。お楽しみに。

 そして11月には新企画本が発信されます。(たぶん)
 タイトルは「トリセツ・カラダ」(宝島社)。かつて医学書を執筆した時に見初めてお声を掛けさせていただき、その後偶然「医学のたまご」で仕事をご一緒することになった私の切り札、ヨシタケシンスケさんにイラストをお願いした、カラダの解説書です。これまでなかった医学の本で、下は中学生から、上はおじいちゃん、おばあちゃんまで、カラダのことをわかりやすく説明しました。サブタイトルは「カラダ地図を書こう」。
 中身はとても面白いので、こうご期待、です。たぶん、この本を手にした多くの大人たちが愕然とする羽目になるのでは。

 それにしても裁判の影響は実に大きく、執筆量は半減しました。学術論争なら喜んで受けたのになあ。読者のみなさん、すみません。でもこれって問答無用で訴えられたので、どうしようもないですね。まあ、この裁判が終わったら版元さん連合を組んで損害賠償請求でも起こしましょうか。何しろ宝島社さんも日経BP社さんも、そして私も、この裁判によって多大な迷惑を被ったわけですから。深山先生は、貴重な税金を使った研究費をお国から頂戴しているんですから、裁判なんか起こさずにその分、研究に励めばいいのに。そして立派な研究報告をすれば、私を黙らせることだってできたはず。深山先生が裁判を起こさなければ、深山先生も私も、その時間だけAiの研究ができたわけです。
 何で裁判に訴えたのでしょう。医学者としては疑問の選択ですね。
 でも下記の報告を見れば、立派な報告書で私を黙らせるという、深山先生にとって王道の勝ち方は所詮ムリだったようです。残念ですが仕方ないですね。何しろそれまでのAiの研究実績がゼロで、画像診断の専門外の方ですから。この結果は当たり前です。

 というわけでここからは、民事裁判の大本になった、研究班の研究内容批判の続編をしましょう。これは純粋な医学批判なので、絶対に名誉毀損にはならない自信はあるんですけど(笑)。
「診療行為に関連した死亡の調査分析」における解剖を補助する死因究明手法(死後画像)の検証」の報告書について、東大医学部人体病理学・病理診断学教室のウェブサイトで閲読できますが、深山教授本人が課題だと認識していた「モデル事業症例」は、千二百万円もの研究費を投じながら、たった1例しか行われていない、ということをお伝えしました。今回は、そのたった1例のモデル事業症例の評価・検討が医学的におかしい、ということをお伝えします。以下、ゴチック部分は「診療行為に関連した死亡の調査分析」における解剖を補助する死因究明手法(死後画像)の検証」の報告書より引用しました。
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