海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2009.09.18 2009:09:18:17:47:53

この報告症例は、「Aiは解剖と同等に有用」だったのでは?

 先日、唐突に新聞、テレビといったメディアが、私が民事裁判で訴えられていることを大々的に報道しましたが、理解できない反応です。何しろ私は一年以上前から、ふたつのブログで経過を明らかにしているのに、まるで初めてこうした事実が明らかになったみたいな報道の仕方でした。新聞ってあまりに取材力なさすぎです。
 共同通信・千葉支社の司法担当の記者さんから、死因究明制度におけるAiの現状について、それから現在の裁判について取材させていただきたいという申し出があったのですが、裁判の方は弁護士さんから取材対応を止められていたので、死因究明制度におけるAiの現状についての方に関し、現在三つの大きな流れがあるということをご説明しました。日本医師会でのAiに関する検討会は、日本放射線学会、日本法医学会、日本病理学会、日本救急救命学会、日本放射線技師会、警察医会、Ai学会から代表者が派遣されている先端の検討会、それから千葉大のAiセンター、そして日本放射線専門医会に結成されたAi検討委員会の三つで、どれに対してもキーマンをご紹介できますと提案したのですが、残念ながらそちらの方は記事にはならなかったようです。
 まあ、取材をされたのは確かですが、後追い報道にはびっくりしました。他の新聞のみならずテレビまで。しかもTBSさんは私の動画付き(笑)。それにしても上記の社会的ムーブメントより一個人の民事裁判の方がニュースバリューが上と判断するなんて、メディアの感覚って少しおかしくないですか?
 この件はブログで公開し続けていて、昨年暮れには週刊朝日で記事にもなっているのに、なぜこの時期に初めて明らかになったかのように報道したのでしょう。しかも顔写真掲載の報道はやはりふつうではなく、弁護士さんに尋ねてみたところ「民事裁判であればこのような報道がされるのは訴えられた時と判決が出たときくらいで、裁判途中では前代未聞です」と即答でした。
 民事裁判で訴えられた人間の顔写真を、裁判途中に報道する必要あるんでしょうか。いや、報道として、写真まで出していいんでしょうか。まあ、別にメディアに出ることに抵抗はないので、構わないといえばそうなんですが、こういうのは原理原則が大切です。
 残念だったのは、私のブログの批判の骨子は「業績をパクられた」ことではなく、「研究業績ゼロで、しかも専門外の研究者が公募科学研究の主任研究官になるのはおかしい」であることが、報道記事で報じられなかったことでした。訴訟対象のブログを読んでいないのでしょうか。それにしても『ジェネラルルージュの凱旋』DVD発売日に、一年以上前に起こされた裁判報道をしたメディアの意図はよくわかりません。
 16日は証人として出廷します。これは前日に書いているので、記事を読まれる頃には終わっているはず。経過報告をお楽しみに。

 さて近況です。15日、関西テレビ・フジテレビ系列で、「チーム・バチスタの栄光SPECIAL〜新たな迷宮への招待〜」が放映されます。って、ブログが載る頃には、もう終わっているんでしょう。でもこれを書いている時はまだ終わっていないので。
 続きまして10月9日にはやはり関西テレビ・フジテレビ系列で、「チーム・バチスタSPナイチンゲールの沈黙(仮)」がドラマ化します。実現困難と言われた映画ではパスされてしまったナイチンゲールの映像化。映像クリエイターの意地でしょうね。伊藤さんと中村さんの田口白鳥コンビに、看護師役の山田優さんという配役で、とても楽しみです。わくわく。
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