第三者的診断コンサルト・システムが、日本放射線学会専門医会AiWGのメンバーを中心にして結成された今、法医学会はこのシステムを学会の総力を挙げて賛助すべきでしょう。そうしないと法医学会は自分の領域だけが豊かになればいいと考えている、自己中心的な組織だと誤認されかねませんのでご注意を。市民は今や、法医学者の言動に興味津々です。
最後に、社会の最適解になるために、以下のAiプリンシプルの遵守を提唱します。
1)Aiは医療現場の終点に置き、医療従事者が診断し、費用は医療費外から医療現場に支払われる。
2)Aiによる死因診断には限界があるということを社会認知させ、Aiで死因確定できなかった場合、解剖適用を推奨する。
3)Aiは、解剖ではなく、検案と比較検討すべきである。
あとひとつ。これまで私はAiに対し狭義の「画像検案」と広義の「死亡時画像病理診断」という二重性の定義的訳語を提唱してきました。しかし、こうした社会情勢の下では、【死後画像診断】と単純明快な定義に帰結させた方が、さまざまな点から明瞭かつ社会的有意義性も高いと思われます。
これは従来の定義と矛盾しません。狭義の「画像検案」は、【死後画像診断】として問題はありません。広義の「死亡時画像病理診断」も、【死後画像診断】と病理診断を融合させて構築された、ひとつ上の次元の【死後画像診断】とすればいいわけです。
それと、【死後画像診断】と定義し直すことで、【死後画像診断】には解剖の併用が「推奨」されますが、それは必ずしも「必須」ではない、ということも明確になります。死後画像診断は、解剖診断とは別次元の別検査だから、それぞれの診断は独立して行われるのは当然のことなのです。「Aiを行った際には必ず解剖を併用すべきだ」という病理学会の公式見解は、「CTやMRIといった画像診断を行う際には必ず病理生検を併用すべきだ」という主張と相同のものになります。これが現在の医療現場ではどれほど非常識な主張か、臨床現場に携わっている医師ならば誰でも簡単に理解できるはずです。
Aiは、【死後画像診断】。そうすれば、病理診断は、Aiで診断できない部分を補ってくれる、まったく別の診断法ということになり、それは医学的には、まったく妥当で正確な理解となることでしょう。
以上が、法医学者の先生が、「『Autopsy imaging』という用語は、マスコミの影響もあって誤った印象を与えている」と認識しているAiの基本概念です。マスコミの影響のない正しい印象を、法医学会の先生方も是非、Aiという用語を使うことで社会に広げていってほしいものです。
1月下旬、医師会でのAi の検討会が開催され、そこで千葉大法医学教室の岩瀬教授が、死後CTについてご発表されるとのこと。その際、画像診断をどうしているのか、詳細にお聞きしようと思っています。何しろ、法医学教室というところは情報閉鎖性が高いので、なかなか外部から実態を知ることが難しいので。また、そのことに関しては詳細にご報告するつもりですので、どうかお楽しみに。