海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2009.07.06 2009:07:06:17:43:00

『1Q84』、直木賞・本屋大賞ぶった斬り(笑)

とまあ、どさくさに紛れていつもの話題へと方向転換しましたが、東大深山教授に、ブログ記事を名誉毀損で訴えられている民事裁判がいよいよ佳境になってきました。
病理学会理事会上層部はAiの厚生労働省科学研究費の研究班を立ち上げる際、概念提唱者の私を無視しました。当然この分野における知識に乏しいためレベルの低い研究になるだろうなと危惧していたところ、案の定レベルが低いどころか、社会的にAi導入を遅らせてしまうような結論を導き出しそうな研究の枠組みがされました。でも眼前で未熟な研究が行われていても、提唱者として意見を述べる機会さえ与えられません。そこで仕方なく一番の問題、研究班構成の問題点をブログで指摘しました。するとその「アドバイス」に従って班員の入れ替えが行われました。ところがその入れ替えが終わったとたん、出版社に抗議、それを受けて公開の場での中立な議論の場での討論を持ちかけたところ、その提案は無視され、直接の議論もせずに地裁に仮処分申請、それが司法に受け容れられないとわかると今度は名誉毀損での民事裁判という暴挙に打ってでる。
何とも品格に欠ける行為だと思いませんか?
文壇が、どうか病理学会理事会よりマシな集団でありますように。たぶん病理学会理事会ほどひどい集団は、他にそれほどあるとも思えませんからその心配は杞憂でしょうけど。

 民事裁判を抱えていることを公言しているにも関わらず、学会や学校、研修会などから講演依頼が今でも山のようにきます。公的組織が正式な講演依頼を行う際はスクリーニングをしますから、民事裁判で訴えられた内容は社会良俗に反する行為ではないと判断されている傍証になります。そのあともフジテレビ「とくダネ!」のコメンテーター依頼がきたりしているので、この問題の社会的審判は終わっているのだと感じます。あとは裁判官に社会常識に化した事実、私の行為が社会性に即した正当なものだと評価されていることをご理解いただくだけ。でもひょっとしたら司法の世界も、文壇、医学界と同じ様な閉鎖社会だとしたらなかなか大変ですけど。
 次回から民事裁判体験記というシリーズでブログを何回か書かせてもらおうと思っています。素人が実際に裁判を体験すると、いったい司法って何だろうという疑念に囚われます。それまで社会正義を行使するために幅広く判断を行うために存在すると思っていましたが、実体はかけ離れている印象があります。社会判断と司法判断がかけ離れることもあるという話が一部の人の誤解だといいのですが。もしそんなことが起こったら、司法は社会正義を達成するために機能するのではなく、その存在意義が問われかねません。
 裁判エンタメ実況、乞うご期待です(笑)。

 最後に近刊の告知を。『外科医・須磨久善』が7月、講談社から出版されます。ぎりぎりまで直しを入れたので、編集Tさんに大変ご迷惑をかけましたが、大ベテランなのでおそらく大丈夫でしょう。Tさん、すみません。
 日本でバチスタ手術を創始した須磨先生の語り下ろし自伝です。というか、それを私が聞き書きしたので、須磨先生の評伝・海堂版と言った方が正しいかもしれません。例によって分類不能の面妖な本になってしまいました(笑)。
 これを読むと、日本の医学界は今も昔も体質が変わらないなあということと、少なくとも私がいま遭っている目などまだまだ序の口猪口才な、という感じだなあ、と研鑽に励もうという気持ちになります。医療従事者はもちろんのこと、この世界の片隅で何かと闘っている人たちへのエールにもなる、読めば元気になる本になりました。是非、ご購読を。
 現在、「小説新潮」で「マドンナ・ヴェルデ」を連載中です。年内に出版できるといいなあ、と思っていますが未定です。また8月から「小説現代」で「ブラックペアン1988」の続編連載を開始します。タイトルは「ブレイズメス1Q84」。あ、間違えました(笑)。タイトルは「ブレイズメス1991」。タイトルは本邦初公開です。 
みなさま、どうかお楽しみに。


以上


2009.06.25  海堂尊
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