海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2008.12.19 2008:12:19:17:25:46

ドラマと映画と訴訟と

「ふふ、実はクライマックスシーンは、こういう風にアレンジしてましてね」
 何と、私のお気に入りのシーンを大胆に変更です。
「ええ、いくら何でもそれは......だってあの場面が書きたかったのに」
「いや、こうこうの理由で、こうなってもいいのでは」
 う、正直、その展開はまったく考えてもみませんでしたが、確かに物語のロジック的にはアリです。中村監督の得意気なしてやったりの表情にちょっと悔しくて、思わず言い返します。
「わかりました。映画は監督のものですからご自由に。実は来年2月、映画化に先立ち海堂作品の世界の公式ガイドブックと書き下ろし中編を併せた『ジェネラル・ルージュの伝説』という本を出すんですよ」
 ええ、と驚く中村監督。
「『ジェネラル・ルージュの伝説』というと、ま、まさか」
「そう、伝説の城東デパート火災の時の物語です」
「よ、読みてえ」
「ダメです。どうせまたパクるつもりでしょ」
「何言ってるんですか。原作の映画化なんだからパクリじゃないでしょう」
 ま、ごもっともな反論です。
「でも、ほら、台本は決まってるし、今さら読んでも気が散るだけですし」
「うう、それでも読みてえ」
 にやりと笑って冷たく言い放つ私。
「映画が完成した頃、出版されますからお楽しみに」
 映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」は全国東宝系にて来春3月7日公開予定。
 単行本『ジェネラル・ルージュの伝説』もついでに来春2月の良き日に出版予定。乞うご期待。

 現在の仕事をいくつか告知。おかげさまで『イノセント・ゲリラの祝祭』は発売一ヶ月で物議を醸しながらも十八万部突破。文庫化された『螺鈿迷宮』も発売半月で増刷が決まり、七十万部突破です。
 この他、野性時代vol62号では「海堂尊解体新書」という特集を組んでくれました。ロングインタビューや自作解説、人物相関図、Aiについての解説、そして短編「モルフェウスの領域」が掲載されています。特に参考資料は、今後の執筆に役立ちそうでありがたいです。角川編集部によると、これも売り上げが通常の号の二倍以上なのだとか。
 また、『このミステリーがすごい! 2009年度版』では短編『青空迷宮』を掲載してもらいました。著者初の本格ミステリー(笑)。どうせまた一部のミステリー愛好者からはブーイングを出されるのでしょうが、その分野に新しく参加しようとしている人間を排除の論理で追い出すと、その分野の新しい芽を摘むことになり、結局ジャンルの衰退につながります。ここはひとつ、広い心で暖かく見守っていただきたいものです。
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